名古屋大学 文学部 大学院人文学研究科案内 2024
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 文学部では2022年度より、分野・専門(研究室)や教育プログラム、学繋の枠をさらに超えた幅広い学びを支援するために、「一般・個別言語学」「近現代日本学」「文化資源学」という学知横断型の3つの特別コースを設置し、単位取得のモデルを提示しています。希望する学生はそれぞれの分野・専門(研究室)に所属して自身の専門分野を究めるとともに、特別コースの指定科目をあわせて履修することで、卒業時に認定証が交付されます。 現代社会では、世界遺産への注目が集まり、各地で自然・文化遺産の保全がはかられる一方で、バーミアン大仏の破壊などに顕著なとおり、宗教的理由や大規模開発などにより、文化遺産の破壊もまた進行しています。そのような中で、文化遺産を保護し後世に伝えていくことや、文化遺産を社会の中でより有効に活用していくことは、大きな社会的課題となっています。 文化資源学特別コースでは、博物館学芸員資格の取得(学芸員資格のページをご参照ください)をベースとしつつ、それに関連する諸科目をあわせて履修してもらいます。博物館・美術館の学芸員や、埋蔵文化財職員など、それぞれの専門性をより深めるコース(日本史博物館学芸員コース・美術館学芸員コース・考古博物館学芸員コース)および、各地の公務員や中学校・高等学校の社会科教員、さらに他の職種も含め、学芸員以外の職種で社会に出て行く学生が、学芸員資格をもち、その知識を社会の諸分野で活用してもらうためのコース(「学芸員資格をもつ公務員・社会科教員」コース)を設けており、各自の専門や興味に応じて選択できます。 日本史学・美術史学・考古学の学生はもちろんですが、文学や哲学、環境学など、それ以外の分野・専門を専攻する学生にも広く履修してもらうことで、文化遺産について社会全体で考えていくことができるようになることを射程に入れつつ、このコースは設置されています。37コーパスを用いた英語表現の検索(右上)、日本語音声の音響分析(左下) 世界のグローバル化と身の回りでの多文化化が進行する今日の社会において、言語を学ぶことや教えることの重要性はますます高まっています。一方で、学問の世界では、言語を分析する手法が発展し、人間の言語がどのようなものであり、個々の言語がどのような特徴を持っているかの解明が進んでいます。言語の分析手法を学び、自ら分析できるようになることで、私たちは言語全般や個々の言語を、俯瞰的に捉えることができるようになるでしょう。 文学部の様々な分野・専門のうち、日本語学・英語学・ドイツ語ドイツ文学・ドイツ語圏文化学・フランス語フランス文学・中国語中国文学の各分野・専門では、日本語、英語、ドイツ語、フランス語、中国語の特徴を学ぶことができます。また、言語学分野・専門では、個別の言語を超えた言語全般の捉え方(すなわち、一般言語学的な視点)を学ぶことができます。一般・個別言語学特別コースでは、これらのうちの複数の分野・専門の科目を横断的に履修します。その際に、所属する分野・専門以外の教員から科目履修などについて助言を受けられることも、本特別コースの特徴です。 このような分野横断的な履修により、個別言語への深い理解と一般言語学的な視点の両方を身に着けたり、複数の言語の理解を深めたりすることができるようになるでしょう。そのような学びを通じて「言語のスペシャリスト」に近づくことが、本特別コースのねらいです。 近現代の日本とは、いま日本に住む我々のもっとも近い過去であり、目の前で向き合っている現在そのものです。近くにあるからなんとなく知っているように思え、まさにいま立ち会っているからよくわかっている気がする。しかし、現実は多面的です。そして過去の歩みも、複雑で屈曲に富むものでした。 「近現代日本学特別コース」は、こうした直近の日本、現在の日本について学術的に考えようというプログラムです。経験的に知っていること、高校までの学校教育や受験で習ったことを、あらためて具体的な歴史資料に向き合い、文学表現の細部に分け入り、映像作品の画面に目をこらしながら、再検討していきます。 「近現代日本学」という学問領域があるわけではありません。特別コースの特徴は、学問分野の横断性です。履修生は、歴史学、文学、映像学など、関連する分野について自分自身の関心に従いながら横断的に学ぶことにより、幅広く、複眼的に近現代の日本を捉えられるようになります。また、G30のJapan in Asia Cultural Studies担当教員とも連携しており、英語による日本研究の授業も履修・聴講できます。「近現代日本学特別コース」の教員が、履修生の所属講座の教員と連携しながら、卒業論文についての補助的なアドバイスも行います。 自分自身の手で歴史を語り、文学を語り、映画を語る面白さを、近現代日本の姿を再発見する喜びを、どうぞ体感して下さい。分野横断的な学びの推奨文化資源学特別コース一般・個別言語学特別コース近現代日本学特別コース特別コース

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