名古屋大学 工学への道 2024
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▲電子顕微鏡の下部奥に、センサチップを搭載したカメラをセット。 微小な世界の一瞬の現象を、動画として捉えます。▲4年次に研究室メンバーで富山マラソンを完走。達成感が大きく 絆も深まり、今は自分から参加を呼びかけています。学部1〜3年次/高校時代から物理が好きで、微小な世界を扱う量子力学の分野を知り関心を持ちました。進路を選ぶ際には、理論を学ぶだけでなく応用も考える工学部に魅力を感じて、この学科へ。サッカーに打ち込んだ高校時代から一転して、大学では勉強に力を注ぎました。現在の研究にも関係する「物性物理学」や「量子力学」はもちろん、数学的空間について考えるような高度な数学も興味深く、ときには一人で、ときには図書館で友人たちと一緒に取り組みました。レベルの高い学生に囲まれ、刺激を受けて自然と努力できる環境のよさは、大学院進学後の今も感じています。学部4年次〜大学院/電子顕微鏡で100万分の1秒レベルの高速な現象を動画撮影するための、カメラを開発しています。このカメラが実現すれば、例えば生体内のタンパク質の構造変異などの物理現象を観察できます。時間あたりの撮影コマ数を従来のカメラの数千倍に上げるため、各ピクセルに複数のコンデンサが組み込まれたイメージセンサを使い、1か0かの2択ではないアナログ情報を記録する点が研究の新しさ。システムとソフトウェアを手探りの状態から構築し、ようやくカメラが動く状態になりました。課題を解決していった先に、原子スケールの現象が見える。そんな期待感が研究の醍醐味です。齋藤研究室(応用物理学専攻)所属杉江 晃成10電解質を用いた発光素子竹延研究室は有機材料・ナノカーボン材料・原子層材料など様々な材料を用い、有機レーザー・新原理発光素子・超伝導体素子・熱電変換素子など既存のエレクトロニクスにはない新しい機能性素子実現に挑戦しています。超伝導体中の電子の作るトポロジカルな渦田仲・川口研究室では、電子や原子が持つ波としての性質をトポロジーや群論を使って解析、そこから生まれたマヨラナフェルミオン(トポロジカル超伝導体)や磁気スキルミオン(電子スピンの渦構造)の新機能を理論的に探索しています。原子分解能での磁気モーメント測定原子サイズまで細く絞った電子によって磁性材料中の各原子列が持つ磁気角運動量の大きさと向きを世界で始めて測定できることを示しました。この技術によって組織制御磁石材料の開発に寄与します。キャンパスライフストーリー わたしの6年間積み重ねた確かな物理の知識を力に、100万分の1秒の現象の可視化に挑む。ここがスゴイ!  物理工学科 

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