名古屋大学 工学への道 2024
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▲応用物理学専攻 竹延 大志 教授応用物理学専攻の竹延大志教授の研究グループは、『新物資』と『新原理素子』の『掛け合わせ』により、基礎研究から応用研究までの幅広い研究分野に貢献する新現象・新機能の探索に挑戦しています。たとえば、層状物質であるグラファイトの単層膜であるグラフェンの発見により、近年では様々な層状物質の単層膜を組み合わせた『原子層物質』が新物質として注目を集めています。当研究グループでは『原子層科学』に関する研究プロジェクト(科研費・学術変革領域研究(A)・基盤研究(S)・基盤研究(A))を推進しています。また、本質的な可撓性を有する有機材料は、古くて新しいエレクトロニクス材料として注目を集めています。本研究グループでは有機材料を用いた発光素子や熱電変換素子に関するプロジェクト(JST・CREST、科研費・学術変革領域研究(A))を推進しています。今後も、新しい科学は、新しい物質と新原理素子により切り開かれると信じ、科学・社会への貢献を目指して研究を進めていきます。▲生命分子工学専攻 堀 克敏 教授 ほか微生物や酵素などの生体触媒を用いたバイオプロセスは、環境負荷の小さい物質生産技術として期待されています。堀克敏教授らは独自の材料であるAtaAと名付けられた接着蛋白質の毛を利用して、産業上有用な微生物である大腸菌を迅速簡便に担体に固定化する新手法を開発しました。固定化した微生物は連続的または繰り返し反応に利用でき、生産物との分離も容易になります。本研究成果は、バイオプロセスによるものづくりを加速し、カーボンニュートラルの実現に貢献することが期待されます。工学部7号館を中心とした建物群に対する安心安全な教育研究基盤の確保と同時に、分野を融合した新しい創発工学を創出し、人材育成や産学官連携及びイノベーションの創出に対応した地域連携グローバル人材育成拠点として、令和3年(2021年)3月に建設工事に着工し、「EI創発工学館」として、令和5年に完成し、秋から供用開始です。この事業により設置される施設の規模は地上9階建て、民間付帯施設を合わせた延べ床面積は約17,000㎡です。整備は、施設等の設計・建設・維持管理を民間事業者に一体的に委ね、民間事業者の創意工夫やノウハウ、経営能力及び技術的能力を最大限に活用し、財政資金の効率的な使用を図りつつ整備を行うこととし、PFI 法に基づき実施されました。教育研究棟は、高層階は産学連携スペースとし、高・中層階は主に機械系の実験室、研究室、会議室等で、低層階は講義室、研究室、実験室、クリーンルームなどで構成し、福利厚生棟は食堂、購買や民間付帯施設等です。この事業において、株式会社FUJI様からホール(FUJIホール)と学修支援スペース(FUJIスクエア)、東京エレクトロン株式会社様からホール(TELオーディトリアム)設置にかかる建設費等の寄附がありました。2022年12月17日、工学部・工学研究科主催(公益財団法人日比科学技術振興財団共催)でテクノシンポジウム「女子学生のための工学フォーラム」を開催しました。テクノシンポジウムは毎年開催していますが、2022年度は3年ぶりに対面形式で開催するとともにYouTubeによるライブ配信も併せて行いました。今回のメインテーマは「未来を拓く工学部女子学生」で、工学を学ぶことに興味をお持ちの女子高校生をメインに、保護者、高校教師、予備校の方々を対象として、①女子学生が工学を選んだ理由は何か ②社会は工学女子学生(博士も含む)に何を期待しているのか ③工学部を卒業した女子学生にはどんな未来が待っているのかで実施しました。当日は、鈴木副研究科長の司会・進行により、宮﨑誠一工学部長・工学研究科長の挨拶と「女性の活躍を含めた工学部・工学研究科紹介」の後、鳴瀧教授から「女子学生支援施策・設備紹介」として、名古屋大学の学生が受けることができる学生支援(経済的支援、研究支援、キャリアパス支援)、女子学生のための支援プログラムなどを紹介しました。次いで、工学部OGによる「工学部出身女性のキャリアパスをテーマとしたパネルディスカッション」を行い、工学部で学んだことがどのように活かされているか、工学部を選んだ理由は何かなど、現在の状況を背景としてご自身の経験から発言と、工学部を目指す女子学生に向けたメッセージがありました。最後に現役の女子学生が登壇し、学生生活や就職、将来の話などについて「本音トークによる座談会」を行い、会場からも多くの質問があり、大変有意義なイベントとなりました。名古屋大学工学部/工学研究科では、毎日、数々のニュースが生まれています。ここに挙げるのはその中の、ほんの一部です。1テクノシンポジウム名大(2022) 〜 女子学生のための工学フォーラム〜 を開催EI創発工学館の完成 ― 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設 ―産業上有用な大腸菌の新規固定化技術を開発新物質と新原理素子の協奏が開く新たな科学と社会工学部NEWS MAP

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