名古屋大学 工学への道 2024
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ナノシートの像3Dナノシートの結晶構造(チタニアナノシート)人類が快適に生きるために高性能デバイス・医薬品などの分子が大活躍しています。私たちは、分子を合成するための新しいパーツとなる未知の化学結合を生み出す研究を行っています。▲厚さ1〜2 nm、縦横数µm程度のナノシートの膜を、基板上に作製し、 走査型プローブ顕微鏡で観察します。▲日本セラミックス協会 第34回秋季シンポジウムでは、優秀発表賞 を受賞。学外の研究者から質問を受けたのも刺激的でした。学部1〜3年次/化学生命工学科に進学したのは、モノを構成する最小の世界を探究したかったからです。大学の学びは、高校のような暗記ではない難しさの半面、「なぜそうなるのか」が理解でき、興味を持って取り組めました。勉強以外に打ち込んだのは、混声合唱団での活動。新入生歓迎演奏会で聴いた先輩たちの歌に圧倒され初挑戦しましたが、ここぞというところで仲間とのハーモニーが決まる手応えは、ほかでは味わえないものでした。全国大会で金賞を受賞できたのも、いい思い出です。学部4年次〜大学院/研究対象に選んだのは、原子数個の厚みのシート状材料“ナノシート”。マクロスケールにはない多様な機能が現れるため、電子部品などへの応用が期待されています。私の研究は、ナトリウムを含有するナノシートの、熱に対する安定性評価。“高温では不安定”との予測に反して、700℃以上でも構造を保つこと、また数枚重ねた場合より1枚の方が高温に耐えることを明らかにし、学会で優秀発表賞を受賞しました。先行研究が少なく、ナノシート作製時に使用する溶液の濃度や圧力などの条件決めに苦労しますが、世界最高峰の設備を使い、サンプル作製から評価まですべて学内で行えます。恵まれた環境で未開拓分野に挑み、実験のたび新しいことがわかる手応えを味わっています。未来材料・システム研究所長田研究室(応用物質化学専攻)所属草間 悠貴6メタンを有用物質に変換する触媒設計メタンは埋蔵量が豊富で安価な炭化水素です。しかし、安定過ぎるが故に、資源としての利用が困難です。私たちはそれを可能とする触媒反応場設計を行い、世界をリードしています。感染症・癌の治療に役立つ人工抗体を創る抗体は病気の原因となる分子に結合して我々の体を守っています。我々は、人工的な抗体様分子を簡便に取得する技術を開発し、感染症・癌の診断や治療に役に立つ人工抗体を創製しています。分子合成のための新パーツ・新しい化学結合キャンパスライフストーリー わたしの6年間世界最高峰の設備で未開拓分野を探究。実験のたび新しいことが見えてくる!ここがスゴイ! 化学生命工学科

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