名古屋大学 農学部案内 2024
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ゼミは教育・研究を推進する大切な機会カビ大腸菌の画大腸菌の画線培養に取り組んでいる カビの毒素を抽出する162006年、名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程後期課程修了、同同志社大学医工学研究センター特別研究員、名古屋大学大学院生命農学農学研究科助教、JSTさきがけ「疾患代謝」領域研究者(兼任)、名古屋古屋大学大学院生命農学研究科准教授等を経て、2021年、同研究科教授教授学生が自主的に実験を進める研究室る研究室1991年、東京大学大学院農学系研究科修士課程修了、理化学研199究所究所研究員補、(専任)研究員、研究ユニットリーダー、カリフォルニルニア州立大学バークレー校リサーチフェロー、明治大学農学部兼任兼任講師、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授等を経て、2021年、同研究科教授202応用微生物学食品機能化学名古屋大学農学部案内2024www.agr.nagoya-u.ac.jp詳しくはWEBで木村 真 教授 博士(農学) 味噌、醤油、日本酒などの多くの発酵食品の製造には、麹菌などのカビが用いられます。私たちは古来より微生物の代謝を利用して農産物から新たな風味や機能を引き出し、地域固有のより豊かな食文化を築いてきました。一方微生物の代謝は、私たちの食生活にメリットをもたらすだけでなく、物理的、化学的に安定で、調理しても毒性を示す非タンパク性の毒素を蓄積させ、人や家畜の健康を害したり悪い影響をもたらしたりすることもあります。 例えば、フザリウム属というカビは毒素を小麦の種子中に蓄積させ汚染します。そこで、この毒素がどのように合成されるのか、合成に必要な遺伝子群の発現がどのように制御されるのか、基本骨格についている側鎖の多様性がどのように生み出されてきたのかを突き止め、その検出を容易にしました。さらにフザリウム属のうち、代替肉生産に用いられているベネナータムという種を用い、有用化合物をつくるような代謝改変を行なっています。 また、SDGsへの貢献をめざし、農産物や加工品から出る糖ポリマーの廃棄物を分解し、食資源やエネルギー源として再利用するための研究にも取り組んでいます。「微生物に期待して、今だかつて裏切られたことはない」という言葉があるように、これからも最新の技術や知見を取り込み、微生物との良き関係を深めていきたいと思っています。柴田 貴広 教授 博士(農学) 近年、生活習慣に起因する様々な病気が大きな社会問題となっています。私たちの研究室では、食品のもつ機能性に注目し、ヒトの健康に対して科学的に貢献することを大きな目標としています。これまでに、企業との共同研究として、野菜に含まれているある成分が生体内の炎症を阻害する機能をもっていることを明らかにしました。これには、将来的に機能性食品などの開発に活かせる可能性があります。また、ヒトの体の中で病気の原因となりうる酸化反応やその生成物を解析することで、病気に関わる重要な分子の発見に取り組んでいます。一例をあげると、名古屋大学医学部との共同研究では、脂質異常症の患者さんの血液を分析することで、その中で特異的に増加しているタンパク質に見られる化学的な変化をつかみつつあります。この成果は新しい疾患マーカーや医薬品の開発につながると期待されています。 科学的根拠に基づいて健康長寿に寄与する食品を提案することと、病気の目印となる良いマーカーを特定することは、社会への貢献に直結するため、大きなやりがいを感じています。さらに食品機能化学は、「食と健康」をキーワードとして、農学、医学、産業界がつながる学際的な研究分野であり、将来性や可能性に満ちているので、若い皆さんにぜひ志をもって参画してほしいと思います。食の安全と供給に影響を与える微生物の機能を制御。メタボリックエンジニアリングを駆使し、持続可能で健康な社会の構築に貢献します。農学と医学、産業界が連携し、健康長寿に貢献できる食品成分や疾患マーカーを探求しています。

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