虫の共生菌を樹木に接種し、病原性を実証する野外で虫を採集し、微細構造を分析野する現地調査に向かう船上にて学部生、大学院生、留学生も交えて学部生、大開催されるゼミ開催される 私たちは、気候変動の影響を受けている東南アジア、南アジアの熱帯林の保全と利用のあり方が、そこで暮らす人々の生活や地域社会とどんな関係にあるのかを、現地調査を中心に明らかにしています。 たとえば、多くの熱帯林は大切な観光資源でもあるので、エコツーリズムなどのために、生態系の保護や野生動物の保護が求められることがありますが、保護によって、森林系資源を利用し生計を立てている地元の村人は、森林資源へのアクセスが制限されてしまうことがあります。政府による自然保護政策と人々の森林資源に依存した生活との調和は簡単なことではありません。村人への詳細な調査や国際機関、環境NGOなどへの聞き取りを重ねて、まずはその実態を把握することから研究が始まります。 実際の調査では現地に入ることすら大変です。インドネシアの首都から現地に近い空港に飛び、そこからクルマで半日かけて地方の町へ。そこから、何回か小船にのり、さらにオートバイで陸路移動し、着くまでに2〜3日かかることもあります。現地の村人は真剣に調査にあたる学生を温かく受け入れてくれます。ただ英語は通じないので、学生は積極的にインドネシア語など、現地の言葉を学び、そこで暮らす人々に聞き取りをして、現地調査をします。 大学では、さまざまなテーマをさまざまな視点から学ぶことができます。高校時代の知識や経験にとらわれることなく、大きく視野を広げてほしいと思います。081993年、名古屋大学大学院農学研究科博士課程単位取得満期期退学、同研究生、日本学術振興会特別研究員(PD)、名古屋大学大学助手、同助教を経て、2010年、名古屋大学大学院生命農学研究科究科准教授2004年、東京大学大学院農学系研究科森林科学専攻博士課程200修了、インドネシア林業省・自然保護総局(JICA長期派遣専門修了家)、(財)地球環境戦略研究機関(IGES)森林保全プロジェクト家)、研究員、マードゥク大学アジア研究センター(オーストラリア)研究客員研究員、兵庫県立大学環境人間学部准教授等を経て、2014年、客員名古屋大学大学院生命農学研究科教授名古森林社会共生学森林保護学名古屋大学農学部案内2024www.agr.nagoya-u.ac.jp詳しくはWEBで梶村 恒 准教授 博士(農学) 私たちの周りには森林や里山、都市の緑地などがあり、さまざまな生き物が生息しています。そこでは、生き物が個体として、集団として相互に関係し、影響を与えあうことで、豊かな多様性をつくり出しています。私たちの研究室では、昆虫を中心とする動物、微生物にも焦点をあて、それらの存在・共生様式や相互関係を解き明かしています。野外調査をベースに、進化的な背景を意識して、遺伝子も用いた様々な実験・分析を行っています。昆虫に注目する理由は、種類も生息数も非常に多く、生物多様性の主役であり、生態系の維持・循環にも大きな役割を果たしているからです。 例えば、微生物が昆虫の餌や住み場所を提供し、逆に昆虫が微生物を運搬・保護するような共生関係も重要な研究テーマです。この関係を科学的な視点でデータ化することは、病虫害の発生時に、大切な森林資源を守る方法を確立することにつながります。森林の中で、微生物と昆虫が結んだ共生関係が、森林の衰退や樹木の枯死、材質の低下などに深く、強力に作用するからです。 私たちの研究対象、研究フィールドは離島を含めた日本各地に広がり、ときには外国に行くこともあります。また研究成果は、生物学の進展にはもちろん、社会問題の解決にも貢献できると思います。まだ発見されていない、昆虫と微生物の未知なる共生関係に挑んでみませんか。原田 一宏 教授 博士(農学)熱帯林をめぐるグローバルな課題と、地域社会の現状をフィールドワークによって把握し、政府と地域社会が共生・調和できる道を模索しています。生物をリアルな“生き物”として見つめ、緑域環境におけるダイナミックな関係を理解し、人と自然の共存を図ります。
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