名古屋大学 大学院 環境学研究科 2025
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開拓・開発を積極的に展開している。とりわけ、海底地殻変動観測システムによるプレート運動のモニタリングや、精密制御震源ACROSSによる地殻の変化検出の取り組みは全国的にも注目されている。 さらに、地球物理学的手法にとどまらず、社会科学研究者と連携した災害発生機構の解明や、地域の防災力向上の支援につながる研究も行っている。このような文理連携の環境学研究科の強みを活かした地震や火山噴火の研究を推し進めると同時に、地震・火山に関する専門性と広い視野を持った学生を育てていきたい。 マントル対流やプレートテクトニクスに象徴される地球のダイナミックな営みは、プレートが沈み込む変動帯に様々な地球科学的現象をもたらしている。日本列島域は典型的な変動帯であり、活発な地震や火山活動を繰り返している。特に中部地方には、太平洋側に海溝型巨大地震を発生させる南海トラフが横たわり、陸域には国内の歴史上最大級である濃尾地震を引き起こした根尾谷断層など多くの活断層が集中している。また、御嶽山に代表される活動的火山も存在している。 本研究センターは、このような地震や火山噴火を引き起こす仕組みの解明、科学的な地震や火山噴火の予測の実現、更に地震や火山噴火災害を軽減するための最先端の研究を、理論・観測両面から強力に推し進めている。そのために、中部地方を中心として地震・地殻変動をはじめとする地球物理学的諸観測を展開するだけでなく、全国や世界中の地震・地殻変動データを取得し、新たな地震像・火山噴火像を求めて研究を進めている。また新境地への挑戦として新たな観測手法・技術の 社会学は、人々の関係のあり方に着目して社会現象や社会問題を解明しようとする学問である。環境条件に適応しつつ持続的に発展する人間社会の未来を構想するには、社会関係や社会構造に関する深い理解が欠かせない。本学の社会学講座は、理論と実証の両面における社会学の有力な研究拠点に発展している。社会学の伝統と諸潮流をふまえてアジア発のグローバルな社会学理論の展開をめざすと同時に、質的・量的方法を駆使して国内外の地域と多様なフィールドで調査を行い、社会問題の解明と政策提言に向けた研究を推進している。 地理学講座の研究教育活動は、人文地理学・自然地理学の諸分野に及んでおり、全国的にも地理学分野の拠点大学の一つとなっている。大学院生は自由に研究テーマを選択し、学会誌・国際学会等で活発に研究成果を発表している。大学院生の研究テーマの近年の傾向としては、海外調査に依拠した研究が増えている。また、地理情報システム(GIS)の研究教育環境の充実に伴い、GISを用いた研究も増えつつある。大学院のゼミは、人文地理学、自然地理学の専攻者が一堂に会して行われる。これによって、大学院生は広い視野のもとで、自己の専門的な研究を高めることができる。地震火山研究センター社会環境学専攻社会学講座 地理学講座 丹□ 宣彦/立川 雅司/丸山 康司(協力)/河村 則行/室井 研二/上村 泰裕/福井 康貴吉村 真衣鈴木 康弘(協力)/高橋 誠/横山 智/今里 悟之/伊賀 聖屋/齋藤 仁/松岡 由佳渡辺 俊樹(センター長)/寺川 寿子/田所 敬一/橋本 千尋/伊藤 武男/前田 裕太/市原 寛鈴木 康弘(兼任)/鷺谷 威(兼任)/金 幸隆(特任)/黒田 由彦(客員)/松多 信尚(客員)/田中 重好(客員)杉戸 信彦(客員)/生田 領野(客員)/中村 秀規(客員)/LIZARAZO Sindy Carolina(招へい)台湾調査ジャワの稲刈り附属センター

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