名古屋大学 理学部 2025
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11化学科もっと詳しく 化学は物質の構造、性質、反応を原子・分子レベルで研究する自然科学の最も基本となる学問分野で、工学、農学、医学、薬学などの応用分野の基盤となっています。そして、そこで明らかになった原理に基づいて、新しい反応や物質をデザインし、人類全体の問題を解決する、新しい物質と機能を創造します。 化学は、分子レベルで新しい物質をつくり出していきます。ある程度狙って、予測してつくるのですが、思いもかけないような物性や生物学的機能があるものを発見できる、偶然のチャンスというものがあって、理論を越えた、その先を見つけ出していく醍醐味があります。 私の例で言うと、体の中でたんぱく質を合成するメッセンジャーRNA。あれは直鎖状の生体物質ですが、テールの部分をつなげて環状にするとタンパク合成がずっと続く現象が起こります。つくってみて初めてわかったことで、2015年には人の細胞で確認しています。「何でこんなことやってるんだ?」っていうような展開が物質から出てきたときの面白さ。みんなに見せたいと思いますね。そしてその機能が重要であれば、応用まで見えてくる。化学は創薬や医療、産業につながる非常にやりがいのある分野です。 化学科は野依良治先生をはじめ、卒業生の方々も活躍され、世界でも高いレベルにあります。国内外を通じてトップクラスの研究・教育環境が整っています。欧米からの研究者や留学生も多い。私は研究で身を立て、国際的に活躍できる人材を育てたいと思っています。英語を身につけ博士号を手にして、グローバルにはばたいてほしいです。Department of Chemistry阿部 洋 あべ ひろし化学科 教授メッセンジャーRNA(mRNA)を完全化学合成する手法や環状RNAなど、mRNAの創薬に貢献する基盤技術を開発。日本初のmRNA医薬の創製にも取り組んでいる。理論の、その先を見つける面白さ人類全体の問題を解決する、新しい物質と機能の創造化学科

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