名古屋大学 理学部 2025
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03 名古屋大学理学部の特長は、なんといってもその研究レベルの高さ。自由な校風のもと、時代の先端を切り拓き、ノーベル賞受賞研究をはじめ、学問の新しい流れをいくつも生み出してきました。すぐれた研究は、人(研究者)と土壌(研究環境)の相乗効果によって生み出されます。この地で、このキャンパスで、ものの本質を解明しようと最先端の研究に挑んだ研究者たち。先人によって豊かに耕された研究風土は着実に受け継がれ、今も、研究の最前線で挑戦が続いています。 音楽の世界でバッハ・モーツァルト・ベートベンが今でも越えがたい存在であるように、数学の世界ではオイラーやガウスのような偉大な先人の結果は今なお燦然と輝いています。しかし、数学は過去の偉大な仕事を学び極めるだけの後ろ向きの学問ではありません。たとえば、21世紀初頭に見出された「団代数」という新しい構造が、分野を越えてさまざまな数学の現象を支えていることが最近わかってきました。そして団代数を通して見ることによって、オイラーが導入しアーベルが研究した二重対数関数の背後にある広大な世界が初めて姿を現しました。ランク3の団散乱図の部分図(T. Nakanishi, MSJ Mem.2023) 物質を構成する基本粒子として知られるクォークやレプトンには、電荷が反対で質量などの他の性質が全く同じ反粒子が存在します。初期の宇宙では、ビッグバンの莫大なエネルギーから同数の粒子と反粒子が対生成されたと考えられますが、現在の宇宙には反粒子でできた反物質は存在しません。なぜでしょうか?この宇宙の謎の解明には、従来の標準理論を越える新しい素粒子理論が必要と考えられます。その探求のために、スーパーBファクトリーなどの加速器を使った実験や理論によって、粒子と反粒子の対称性の破れに関する研究を進めています。注目注目加速器で生成されたB−反B中間子対の崩壊(Belle II/KEK)12小林 誠CP対称性の破れの起源の発見ノーベル賞、文化勲章、学士院賞など岡崎 令治岡崎DNAフラグメントの発見内藤記念科学振興賞 朝日賞益川 敏英CP対称性の破れの起源の発見ノーベル賞、文化勲章、学士院賞など岡崎 恒子岡崎DNAフラグメントの発見ロレアル・ヘレナ・ルビンスタイン賞、文化勲章紫綬褒章Challenge世界が認めた理学の最先端predecessors今、注目したい名大理学部の研究新しい数学構造の探求オイラー、アーベルから団代数へ消えた反物質の謎の解明粒子−反粒子対称性の破れから迫る挑もう、理学の最先端

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