6左:硬膜の免疫細胞像 右:ミクログリアと血管私たちの脳内には神経細胞およびグリア細胞が存在します。学習・記憶・情動などの高次脳機能はこれらの細胞が協調して生理作用を起こす結果発揮されます。そのためその生理作用が損なわれることによって、高次脳機能に異常をもつ精神・神経疾患が生じます。私たちの研究室では2光子顕微鏡、ホログラフィック顕微鏡などの先端光学システムを用いて、神経グリアの多細胞で構成される回路の生理機能を解き明かし、これが破綻するメカニズムを探ることで病態の理解を目指します。左:独自に作成したマウスを用いて神経軸索を損傷すると、細胞体のミトコンドリアが緑(GFP)に光り、核には転写因子ATF3(赤)が発現、細胞周囲にはミクログリア(青Iba1)が集まる様子が観察できます。右:新しい3D電子顕微鏡で観察した運動神経細胞の細胞質。細胞質内はミトコンドリアや小胞体で満たされています。私たちの研究室では、損傷神経の生存・再生のメカニズムと慢性ストレスによる疲労/疼痛発症のメカニズムの解析を行っています。再生可能な末梢神経の解析を通して、再生しにくい中枢神経の再生を目指しています。具体的には、独自に発見した損傷関連分子の機能解析、神経グリア相互作用、損傷特異的な遺伝子改変動物の作成、新しい電子顕微鏡技術による3次元構造の解析やデータサイエンスを用いながら、神経再生を導くメカニズムを明らかにしています。大人の脳はかたまりとして見えますが、もとをたどれば、胎児の頃、脳室という水たまりを包む薄い皮のようなものが次第に分厚くなっていくことでできていくのです。ニューロン(神経細胞)が生まれ、動き、並び、配線やグリア細胞との協働体制を整えながら、脳ができます。脳がどうできるのかを研究しています。先天性障害の原因解明や幹細胞を使った再生医療を意識しつつ基礎的知見を得ています。組織中の細胞の挙動をライブ観察し、遺伝子発現やタンパクの機能を追求します。ホームページに動画付き紹介があります。医学系研究科には、大きく基礎医学系、社会医学系、そして臨床医学系の三系統に分類される多くの講座・分野があります。また、神経疾患・腫瘍分子医学研究センター(4部門:9分野)があり、さらに大学附属研究施設として環境医学研究所(2部門:8分野、2センター)があります。 これら講座および研究施設の部門では、(i)各専門領域についての医学教育、(ii)先端医科学の研究、さらに臨床系諸講座においては(iii)最先端医療機関としての附属病院における診療の実践を担っており、三つの職務は互いに深く結びついています。ここでは、各講座・研究室における研究・診療の内容について紹介します。●分子細胞学●機能組織学●細胞生物学Research / Medical care機能形態学講座基礎医学系研究・診療紹介
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