▲物質科学専攻 生田 博志 教授 畑野 敬史 准教授超伝導はリニア新幹線やMRI(核磁気共鳴画像)装置などの医療機器、あるいは量子コンピュータなどに活用され、社会を支える重要な材料となっています。しかし、使用には極低温への冷却が必要だという制約があり、より高温で動作する超伝導体が求められています。物質科学専攻電子機能材料研究グループでは、近年発見された鉄系超伝導体の薄膜成長に取り組み、その成長手法を世界に先駆けて確立しました。特に、超伝導転移温度が高いNdFeAsO系において、臨界電流密度が非常に高い高品位薄膜を実現しています。さらに、これらの薄膜を用いて様々な基礎物性の測定を行い、例えば応用上重要なパラメータである異方性の測定などを行ってきました。最近では、これらの薄膜を用いて単一光子の検出が可能な素子の開発にも取り組んでいます。これらの研究は、超伝導技術の進化とその応用範囲の拡大に貢献するものと期待されています。▲応用物質化学専攻 長田 実 教授子供の積木細工のように、原子・分子のブロックを使って色々な材料や機能を作りたい。これはナノテクに携わる大人の夢です。長田実教授らは、数原子の厚さの2次元物質(ナノシート)を対象に、新しい電子デバイスや環境・エネルギー材料の開発を進めています。こうした一環として、高い蓄電性能を有するナノシートを発見し、ナノの積木細工により世界最高性能の誘電体キャパシタの開発に成功しました。このキャパシタは、たった数秒で充電でき、長寿命、高温安定性などの優れた特性を併せ持ちます。将来、このナノシートがスマホ、電子機器で活躍することを夢見て、ナノテクによる未来材料の開発を進めています。名古屋大学工学部/工学研究科では、毎日、数々のニュースが生まれています。ここに挙げるのはその中の、ほんの一部です。2023年11月18日、工学部・工学研究科主催(公益財団法人日比科学技術振興財団共催)でテクノ・シンポジウム名大2023「女子学生のための工学フォーラム」をES総合館1階ESホールで、対面形式で実施しました。当日は親子■っての参加者が多く、また、YouTubeにて当日の模様を期間限定で配信しました。メインテーマは「未来を拓く工学部女子学生」で、工学に興味をお持ちの女子高校生をメインに保護者・高校教師・予備校の方々を対象として、①女子学生が工学を選んだ理由は何か、②社会は工学女子学生(博士も含む)に何を期待しているのか、③工学部を卒業した女子学生にはどんな未来がまっているのかについて、講演、パネルディスカッション、座談会等で構成しました。当日は、尾上順副研究科長の司会・進行により、宮﨑誠一工学部長・工学研究科長の挨拶の後、工学研究科/未来材料・システム研究所 田川美穂教授から「女性支援施策・設備紹介」として、名古屋大学の学生が受けることができる学生支援(経済的支援、研究支援、キャリアパス支援)、女子学生のための支援プログラムなどを紹介しました。次いで、工学部OGによる「工学部出身女性のキャリアパスをテーマとしたパネルディスカッション」を行い、学部で学んだことがどのように活かされているか、他の理系学部ではなく工学部を選んだ理由は何かなど、現在の状況を背景としてご自身の経験から発言がありました。後半は、学生生活や就職、将来の話などについて、現役の女子学生4名(学部3年3名と博士後期課程1年1名)が登壇し、モデレーターの女性教員2名と、現在の生活を紹介することから始まり、就職へ向けての話、高校生の時や将来の話など、本音による座談会を行いました。その後、会場を出て、製図室・低温プラズマ科学研究センター・結晶成長情報工学研究グループの施設見学を実施しました。参加者は興味深く説明者に耳を傾けている様子があり、予定時間が延長となるほど大変盛り上がりました。電気電子情報工学科及びエネルギー理工学科に続き、化学生命工学科、機械・航空宇宙工学科でも新たに学校推薦型選抜女子枠を設置し、令和7年度入学者選抜(令和6年度実施)から実施します。ナノシートキャパシタのイメージ図募集人員を9名から14名にし、そのうち7名が女子枠。鉄系超伝導体の薄膜成長の様子1電気電子情報工学科募集人員の12名のうち6名が女子枠。機械・航空宇宙工学科募集人員の15名のうち5名が女子枠。エネルギー理工学科募集人員の6名のうち3名が女子枠。「女子学生のための工学フォーラム」を開催新設既設化学生命工学科学校推薦型選抜女子枠の拡大ナノテクでつくる未来材料鉄系超伝導体の高品位薄膜成長とその応用工学部NEWS MAP
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