名古屋大学 農学部案内 2025
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4年次には、下記の研究室に所属し、学生が主体となって卒業研究に取り組みます。たとえば、モデル動物であるマウスから得た受精卵(右図)から、発生工学の手法により特定の細胞で緑色蛍光タンパクを発現するトランスジェニック動物を作出し、その機能を解析します。安全な食料の効率的な生産は、21世紀の人類の食をグローバルに支えるうえで極めて重要です。ラボではモデル動物やモデル植物を用いて、動植物の繁殖や成長発達のメカニズムを研究し、食料生産につながる知識と技術を身につけます。そして、フィールドにおいて、実際の食料生産の基盤となる応用研究を展開します。動植物に病害を引き起す微生物やウイルスがいる一方、根粒菌など生物の生存に役立つ微生物やウイルスも存在しています。動植物が持っている病害抵抗性や生体防御機構、寄生・共生といった複雑な生命現象を解析し、食料生産へと応用するための知識と技術を身につけます。資源植物の構造と機能およびその環境応答機構に関する超微形態学的・生化学的・分子生物学的研究。栽培植物の系統分化、形態形成、発生および環境ストレス耐性に関する遺伝育種学的、分子遺伝学的、分子生物学的、および生理学的研究。作物生産の生理・生態学的解析、とくに環境応答・資源獲得に関する研究。園芸作物の生産性向上のためのバイオテクノロジーおよび生理学・生化学・分子生物学的研究。特に、花器官の形成、開花、花色に関する生理、また、果実の結実生理および糖や二次代謝産物などの物質蓄積の解明とその制御。植物病原体の感染に対する植物の生体防御の機構と機能に関する生理学、生化学および分子生物学的研究。植物−病原菌相関で誘導される植物免疫の分子機構に関する研究。作物の遺伝情報や圃場での表現型・生産性、土壌特性・気象等の情報を収集し、それらの関係性の解析を元に作物生産を向上させるための研究。食料・農業問題に関する理論的・実証的研究および地域資源管理、農業の多面的機能に関する学際的研究。植物生理形態学植物遺伝育種学作物科学園芸科学植物病理学植物免疫学耕地情報利用食料経済学植物遺伝子機能高等植物における環境適応と生存戦略に関する分子生物学的研究。高精細イメージングと多階層オミクスを駆使して花と根の発生をシステムとして理解する。フロリゲンの分子機能解明。植物成長と環境適応を支える根の組織構造の解明。発生学・システム植物学植物ゲノム育種環境・エネルギー・食の問題などの解決を目標に、作物ゲノムビッグデータを活用しつつ、基礎研究から社会実装まで一気通貫型の育種学研究を展開する。植物資源の価値化・保全へ向けた、接ぎ木、植物の全身性シグナル伝達メカニズムを中心とする基礎から応用までの研究。哺乳類および鳥類における様々な質的形質と量的形質の遺伝的基盤に関する研究、ゲノム編集等の発生工学を用いる動物の進化遺伝学研究、動物遺伝資源の評価と保全・利用に関する研究、ヒト疾患および生物機能研究用モデル実験動物の開発・育成に関する研究。生物産業創出動物遺伝育種学たとえば、病原菌が感染すると、免疫機能を発揮してこれを排除しようとします。生理学的、生化学的および分子生物学的手法を用いて解析し、生物が持つ巧みな生体機構や生存戦略に迫ります。ガの幼虫に寄生するハチが卵を産み付けるとき、ハチに共生しているウイルスが一緒に入り卵の発育を助けます。このような生物の相互作用の理解は、環境に大きな負荷のかからない害虫制御を可能にします。 生物の持つ機能を最大限に引き出して、食料生産の効率化や品質の向上を図ります。そのためには、動植物の生理機能を明らかにしなければなりません。遺伝子にコードされたタンパク質はどのような機能を持っているのかを遺伝子工学や細胞工学を利用して解き明し、バイオテクノロジーと農業を融合した革新的な食料生産を可能にします。食料生産の歴史は、品種改良の歴史です。人類は動植物を交配、改良して食料を増産してきました。人口増加の続く未来の食料危機に備え、さらなる多収化をめざす研究開発を続けています。また、食料生産を拡大するためには、これまで農地として適さないとされてきた環境にも対応した新品種の研究開発がますます重要となっています。ラボとフィールドでの研究を通じて、食料生産や環境保全などにまつわるグローバルな問題の解決について考える力を養います。植物ホルモンのひとつジベレリンは植物の草丈を制御しています。主要穀物であるイネを材料に、植物体内でのジベレリン合成量や情報伝達の変異を明らかにし、より多くの収穫が得られるイネの作出に成功しています。ゲノム・エピゲノムダイナミクス動物形態学動物統合生理学動物生殖科学動物栄養科学動物生産科学鳥類バイオサイエンス水圏動物学資源昆虫学害虫制御学ひとつひとつの生物種を、遺伝資源と捉えるのはなぜでしょうか?それは生物が持つ遺伝子の多様性が食料生産の基盤となっているから。人類は近縁種の交配などによる品種改良を通して、バラエティあふれる食料生産を可能としてきました。動植物のゲノム解読の進む中、遺伝子情報をもとにした生物資源の開発・保全に必要な知識を幅広く学びます。たとえば、染色体(右図)やゲノム情報を解析して、鳥類の進化の■に迫る研究や、数多くのニワトリ品種を保存するプロジェクトを展開しています。 動物におけるエピジェネティックな遺伝子発現制御およびレトロトランスポゾン発現制御に関するゲノム網羅的な研究(エピゲノム解析)。減数分裂の制御機構の研究。表現型多様性のもととなるエピジェネティックな多様性に関する研究。哺乳類および鳥類の神経統御と生殖制御に関する器官を中心とした生体構造の機能形態学的研究。脊椎動物(哺乳類、鳥類、魚類)の季節適応機構と概日時計機構の解明。季節繁殖や概日時計の制御を通じた動物生産性の向上とヒトの健康の増進に関する研究。ニワトリにおける成長制御と成長因子発現調節に関わる研究。生殖機能の制御メカニズムに関する神経内分泌学的基礎研究とそのメカニズムを利用した畜産や創薬への応用研究。哺乳類と鳥類における代謝性疾患(2型糖尿病や脂肪肝など)の原因遺伝子と栄養学的制御因子の解明。鳥類の卵に含まれる生体分子の取り込み機構の解明とその仕組みを利用した有用タンパク質生産への応用。反芻家畜の生理機能の調節機序に関する基礎研究とその機能を利用した動物生産にかかわる応用研究。脊椎動物の四肢の発生と形態形成・進化の分子機構の研究。鳥類が持つ多様な生命現象を支配する遺伝子の同定とその機能の解明。遺伝子改変技術を用いた鳥類モデル動物の作出と利用に関する研究。水産動物の神経系、感覚器、運動器、ペプチドニューロンに関する形態学的、生理・生態学的、進化行動学的研究。昆虫ウイルスの増殖機構とウイルスと宿主昆虫との相互作用、昆虫の抗ウイルス応答機構に関する研究生理学・分子生物学的アプローチを使った農業作物に害をおよぼす昆虫類の制御機構に関する研究。10名古屋大学農学部案内 2025ラボからフィールドへ生物の相互関係アグリバイオ品種改良遺伝資源学びのKEYWORD

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