名古屋大学 農学部案内 2025
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1991年、名古屋大学大学院農学研究科博士課程後期課程修了、日本学術振興会特別研究員、名古屋大学農学部助手、米国ミシガン州立大学昆虫学部留学、名古屋大学大学院生命農学研究科助教授等を経て、2014年、名古屋大学大学院生命農学研究科教授昆虫培養細胞の健康状態を観察慎重におこなわれる実験用試料資源昆虫学池田 素子 教授 農学博士 私たちの研究室では、暮らしや食卓を彩る花や野菜、果物の色やカタチ、味や人の健康に関わる成分や遺伝子を特定し、遺伝子を使って作物の色やカタチ、味や品質成分をデザインする研究をしています。そのような遺伝子や生化学を駆使した研究は、私たちの研究室が全国に先駆けて取り組んできた研究です。近年では、遺伝子の配列情報を大量かつ高速で読み取る装置や、微量のタンパク質や品質成分を高精度に分析できる装置など、先進の解析装置を駆使することで、注目すべき成果をあげています。例えば、先進の解析装置を使った遺伝子や成分の解析により、ブドウに含まれる人の健康に関わる「レスベラトロール」という物質が蓄積する仕組みを明らかにしました。 また、遺伝子組換えやゲノム編集などの遺伝子改変技術を駆使して、これまでにない品種をつくり出すことにも取り組んでいます。例えば、収穫量を減らすことなく従来品種より3割も糖度が高いトマトや、これまで存在しなかった美しい緑色のアサガオ、鮮やかな黄色のペチュニアなどの開発に成功しました。 私たちの研究は、ゲノム編集技術などの先端テクノロジーを使って、より美しい花、よりおいしくて健康に良い野菜、より魅力的な果物といった、生活に身近な価値を社会に届けることができるところが魅力です。私たちの暮らしを豊かにする研究を、植物好きな仲間とともに取り組んでみませんか。の作製 地球上の生物でもっとも種が多く、繁栄している昆虫。私たちの研究室では、昆虫と昆虫ウイルスが持つさまざまな未知の生命機能を研究し、その成果をもとに、昆虫と昆虫ウイルスを有効に活用するための理論を築くことをめざしています。これまでに昆虫の発生、変態、休眠の仕組みや、昆虫ウイルスが増殖する仕組みを、遺伝子レベルで解明してきました。 現在、私たちのグループでは、特定の昆虫を宿主とするウイルスの構造や増殖の仕組みを、分子や細胞レベルで研究し、昆虫ウイルスの新たな利用法を探求しています。ウイルスが好みとする昆虫の種類や昆虫体内の組織はどのように決定されるのか。ウイルスは昆虫にどのように病気を起こし死に至らしめるのか。昆虫はウイルスの攻撃をどのような技を使ってかわしているのか・・・。 この壮大で巧妙なドラマを繰り広げているウイルスと昆虫の遺伝子を見つけ、その機能と役割を明らかにし、昆虫とウイルスによる生命の駆け引きの仕組みを解明しつつあります。そしてこれらの研究を通して、昆虫と昆虫ウイルスの特異な生物機能を開発し、有用物質の生産や害虫防除のための技術開発などに貢献したいと考えています。1998年、名古屋大学大学院農学研究科博士課程修了。名古屋大学農学部助手、名古屋大学大学院生命農学研究科助教授、スイス・チューリッヒ大学Institute of Plant Biology客員助教授等を経て、2007年、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授植物の色素成分などを分析する質量分析器の前にて園芸科学白武 勝裕 准教授 博士(農学)繊細な手業で遺伝子組換え植物を受粉させる11遺伝子改変技術を使い、花、野菜、果物の品質や特性をデザインすることで、新しい価値、新しい楽しみ、新しい感動を創造しています。昆虫と昆虫ウイルスの未知なる生命機能をさぐり、生物資源としての昆虫と昆虫ウイルスの活用をめざしています。LABORATORY TOPICS資源生物科学科 研究室トピックス

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