名古屋大学 農学部案内 2025
15/20

4年次には、下記の研究室に所属し、学生が主体となって卒業研究に取り組みます。図は、モデル植物であるシロイヌナズナの遺伝子の発現量(転写物量)をリアルタイムPCRにより定量にしているとことろです。遺伝形質を規定する因子で、塩基、糖、リン酸が連なっている核酸と呼ばれる分子です。4種類の塩基の並び方や長さで表される設計図をもとに、細胞の中でタンパク質がつくられ、細胞は機能を発揮します。設計図を改変して自在に生物の持つ機能を変えたり、特定のタンパク質を細胞につくらせる物質生産を行ったりする「遺伝子工学」について学び、遺伝子のレベルで生命現象について考えます。生物や酵素の持つ力を利用して、有用な働きをする物質をつくりだすことです。この場合、本来つくりだすことができない生物の機能を遺伝子操作で可能にしたり、生物機能の一部である酵素反応を有効利用したりして、効率良く有用物質をつくりだすことができます。このような技術とその背景になる基礎知識を習得します。特異な化学構造と生物活性を示す天然有機化合物の生物有機化学的研究:新しい有機合成反応・合成方法論の開発、天然有機化合物の全合成研究と生物機能の解析・制御に関する研究。植物・微生物などが生産する生理活性物質の単離・構造解析・作用機構・生合成・受容体に関する研究。生物現象を司る天然物の単離、構造決定、合成、作用機序に関する研究。蛍光プローブを用いた新たな標的分子の解析法の開発。糖鎖高分子、生物機能高分子、生分解性高分子、植物由来高分子およびこれらを活用した医用高分子の設計、精密合成、機能発現に関する研究。生物的機能を有するバイオマテリアルの創出。ピリドキサル酵素やフラビン酵素の構造機能相関。D-アミノ酸の生理作用と代謝関連酵素に関する研究。古細菌の脂質合成に関する研究。環境微生物からの有用遺伝子スクリーニング技術の開発。抗体や酵素、あるいはそれらを利用した機能性脂質など、新規な生物機能分子を創製し、そのための生物反応プロセス、バイオインフォマティクスを利用した解析システムを構築することを目的とした生物工学的研究。水田生態系各部位に生息する生物群集の構造・特性と機能および生物間の相互作用に関する研究。真核生物の情報伝達と遺伝子発現制御機構について、主としてカビを材料としてDNA、RNA、タンパク質、低分子化合物の面から解析している。食と健康をキーワードとした基礎研究、特に生活習慣病に関連した内因性因子としての酸化ストレス、および外因性環境因子としての機能性食品に関する研究。動物細胞機能調節や細胞内輸送、細胞外分泌に関わるアダプター蛋白質、酵素の構造やタンパク質間相互作用ネットワーク解析を中心にした生化学的、分子細胞学生物学的および構造生物学的研究。哺乳類におけるタンパク質、核酸とこれら複合体の生合成および生体内での動態、ならびに上記分子の細胞増殖・組織分化を含む生体における作用および制御機構を生化学・分子細胞生物学的に研究しています。生物機能を、タンパク質、核酸に次ぐ第3の生命鎖といわれている“糖鎖”を解析することで統合的に理解することを目指しています。生化学的、分子細胞生物学的、糖鎖工学的手法を用いて、神経・脳機能・精神疾患、炎症・免疫機能における糖鎖の重要性を解析する基盤研究、糖鎖の医学的、農学的、工学的利用を目指した応用研究、糖鎖の進化などを研究しています。生物有機化学生物活性分子天然物ケミカルバイオロジー高分子生物材料化学応用酵素学分子生物工学土壌生物化学応用微生物学食品機能化学分子細胞制御学分子生体制御学糖鎖生命科学図は、光合成微生物であるシアノバクテリアの培養の様子や、様々な機能を持つ化合物を産生するカビの分生子を示します。糖、アミノ酸、タンパク質や様々な化学物質の原料を生産する工場として利用できます。タンパク質は、細胞が機能を発揮するときに働く最小単位としての分子で、構成されるアミノ酸の長さと種類によってその構造と役割が決まっています。また、核酸、タンパク質に続く第3の生命鎖として“糖鎖”がタンパク質や脂質などを修飾し、それらの機能を制御しています。細胞や組織で、タンパク質や糖鎖の構造、役割がどのように変化しながら生命活動を支配しているのかを学びます。生命機能に影響を与えるさまざまな化合物のこと。遺伝子やタンパク質の機能を活性化または阻害することにより、細胞の働きを制御します。また医薬や農薬の開発にも役立っています。このような生理活性物質の探索や機能解明、設計、合成などに必要な知識や技術を身につけます。図はタンパク質のサイズや存在量を調べることができる「質量分析法」により、タンパク質の時間的な変動を調べているところです。動物細胞生理学哺乳類、酵母における細胞シグナル伝達機構の分子細胞生物学的解析栄養生化学食理神経科学植物情報分子生物化学ゲノム情報機能学植物細胞機能植物統合生理学分子微生物学天然物化学細胞生化学図はいくつかの野菜から分離した成分の生物活性について検査しているところです。図は、食虫動物トガリネズミが持つ毒の構造や、放線菌が作る物質と真菌が持つ糖の結合を解析した画像を示します。生物がその生存のために保有する化合物は、ときに医薬品や農薬開発のヒントになります。に基づく医薬品を含む有用物質の開発を目的とする研究。栄養素(主にタンパク質・アミノ酸)による酵素および遺伝子発現の制御機構。3次元培養による肝臓特異的遺伝子発現の制御機構に関する研究。肝臓の概日リズムのメカニズムと時間栄養学。分岐鎖アミノ酸の代謝と生理機能。プレバイオティクスによる体内代謝への影響。ヒトを含む雑食性の動物は様々な食物を評価・選択した後に摂取しますが、この基準は経験、加齢、肉体・精神状態などにより変化します。本研究室では、その基盤となる神経メカニズムの解明を目指しています。栄養環境の変化に応答した植物の成長制御について、それに関わる情報分子の同定や生合成、輸送のしくみを分子レベルで解明することを目指した研究を行っている。花・花粉・根などの植物器官の形成に働く遺伝子の機能や発現制御機構について、環境要因との関連も含めて分子遺伝学的・分子生物学的に研究している。光合成生物の代謝を支える分子機構に関する研究:クロロフィル生合成・窒素固定、概日時計・ホルモン情報伝達を中核課題として、遺伝情報の進化と多様性、タンパク質の構造機能相関に着目した基盤的研究と応用展開研究に取り組んでいる。高等植物の成長・分化制御とその環境情報応答に関する研究。植物が内的・外的環境の周期的な変化を感知し、自らの生理現象を分子から個体レベルにまで秩序立てるしくみを、主に分子遺伝学・生化学・マルチオミクス手法によって研究している。微生物(酵母や大腸菌)をモデルにして普遍的な生命現象を解明し、創薬に生かす研究を行います。特に、寿命や老化の仕組みを解明し制御する方法、2成分制御系がシグナルを感知し応答する仕組みを研究しています。天然物の全合成研究と新規反応開発に関する研究。生物活性物質の分子プローブ開発。皮膚形成や血液凝固等に必須な、タンパク質を架橋接着させる酵素(トランスグルタミナーゼ)を中心に、酵素の持つ未知な役割の解明、病気との関連、遺伝子欠損モデル動物の研究。食品は人間が活動するためのエネルギー源ですが、細胞にさまざまな影響を与える微量成分や潜在的な機能も有しています。摂取した食品が体内に取り込まれて利用される道筋や、食品中にある未知の生理活性物質の実体を明らかにすることは、人々の健康維持や病気の予防にとても重要であることがわかってきました。これらについての基礎知識から最新の知見までを広く学びます。14名古屋大学農学部案内2025遺伝子(DNA)物質生産タンパク質と糖鎖生理活性物質機能性食品学びのKEYWORD

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る