名古屋大学 農学部案内 2025
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4年次には、下記の研究室に所属し、学生が主体となって卒業研究に取り組みます。自然環境に与える負荷を減らしつつ、現在そして将来の世代にわたって豊かな環境を維持すること。そのためには、環境との調和を考えた活動を行うことが必要です。私たち一人ひとりができることから始めるだけでなく、社会のしくみを変えるための技術についても学びます。石油などの化石資源の対極にあり、再生可能な生物由来の有機性資源。木質バイオマスが全体の9割を占め、その有効利用が新たな産業育成の大きな■になると期待されています。この利用は二酸化炭素を増加させないこと、膨大な賦存量があることなどから「21世紀はバイオマスの時代」ともいわれています。土壌圏物質循環学土壌圏を中心とした環境中における炭素、窒素、微量元素の動態に関する研究、腐植物質の化学。生物圏における水・エネルギー・炭素循環の解明、森林構造と気象環境の関係および生物群集と自然災害に関する研究。森林水文・砂防学森林生態学、森林遺伝学、森林生態生理学に関する広範な研究。特に、森林群集の構造、動態、機能および樹木個体群の遺伝的変異、繁殖、生態生理、物質生産と収支、理論モデリングに関する研究。森林生態学植物―土壌間における相互作用の視点から、森林がもつ環境応答の機構を明らかにする研究。植物土壌システム参加型森林管理・コミュニティフォレストリー、国立公園における政府と地域住民の協働資源管理、プライベート・ガバナンスとしての認証制度、野生動物と地域住民の関係に基づいたエコツーリズム、地域の食文化や生業に関する研究。森林社会共生学木質化の生化学、抽出成分の化学、リグニンの化学、リグニン機能性物質の創製、パルプ化に関する研究。森林化学生物種内、生物種間、さらには生態系といったさまざまな生物学的階層における多様性や変異性のこと。進化の過程で多様に分化し、生息場所に応じた相互の関係を築きながら、個々の生態系や種、個体を形づくってきた生物について学ぶことは、人間の未来を見通すための重要な足がかりとなります。私たち人間も含め、あらゆる生物(動物・植物・微生物など)の生存の場である生物圏に広がる環境のこと。生物圏は、水圏・大気圏・土壌圏といったさまざまな地球環境にまたがって存在し、その中で生物と生物、生物と環境が相互に関係する生態系がつくられています。循環資源利用学森林保護学木材物理学木材工学生物システム工学森林資源管理学生物体を構成する物質や元素が、土や大気や水を通して、再び生物に取り込まれるサイクル。太古の昔から自然界はこのように循環させながら健全な繁栄を営んできました。私たち人類の生産・消費活動をこのようなサイクルの中に組み込む方策について考え、「自然との共生」をめざします。再利用可能な資源を必要なだけ用いて、それを再利用する循環型の社会。たとえば、物を廃棄する前に、その一部もしくは全部をリサイクルしたり、資源やエネルギーとして再生したりする取り組みが行われている社会が「持続型社会」であるといえます。17世紀後半につくられた錦帯橋は、その後数十回に及ぶ大小の修理・架け替えのたびに木材を再利用し創建当時の姿を伝えています。資源の循環利用の観点から、今日の環境保全を先取りしているといえます。 森林の恵みである木材と木質バイオマスを、安全で効率よく、そして環境にもやさしく収穫する技術を考えます。 生物はその生存のために最適な適応形態を発展させ、それぞれの種は特徴的な生存戦略を持っています。 生物の生存する多様な環境を計測することから、自然生態系の理解が始まります。 森林からは、さまざまな物質が水の流れにのって運び出されていきます。それらは川に流れ込み、海に到達して、海の生物生産に関わっています。 脱石油社会に向けたバイオマス利用の研究を通じ、二酸化炭素の排出削減および持続型社会の実現をめざします。樹木抽出成分の単離・構造決定、生合成、分布および利用。森林や里山など緑域環境における生物群集の存在様式や生物間相互作用、生態系保全に関する研究。樹木の成長過程と成長応力および材質発現機構、熱帯造林樹種の成長と木部成熟特性、木質形成の分子生物学、木材の水分・熱および力学特性。木材・木質材料の構造利用における力学的耐久性、木質構造の力学挙動解析、森林資源の材質分布と需給計画、木質による都市環境デザインなどに関する研究。生物資源を対象とした計測システムおよび精密機械プロセスに関する研究。森林の先端的計測技術の開発、森林資源管理に関わる理論の構築、森林の将来計画立案とその評価手法の開発に関する研究。06名古屋大学農学部案内 2025環境保全バイオマス生物多様性生物圏環境物質循環持続型社会学びのKEYWORD

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