名古屋大学 医学部医学科案内 2026
11/24

9バングラデシュの中でも特に中低所得者の居住する地区において生活習慣調査と健康診断を実 施し、それらをデータベース化して、疫学研究を実施しています。新しい無菌室と移植用の臍帯血内視鏡室診断を行う気管支内視鏡検査の様子 「公衆衛生学・Public Health」は、社会で暮らす全ての人々(公衆)の健康(生)を守(衛)る仕組み作りに貢献するため、国内外の健康問題についての調査・研究、専門家の育成、そして健康を改善するための実践的活動を行う学問です。医師法第1条においても医師は、公衆衛生の向上及び増進に寄与することと定められています。私たちの主な研究テーマは 生 活習慣 病 危 険 因 子 の 解明、さらに予防活動や健康教育方法の開発と実践で、日本の地域や職域を主な 研 究フィー ルドとした 調 査 研 究 の他 、開 発 途 上 国での調 査の実 施 、さらにそれらのデータをもとに国際共同研究を実施しています。 法律上問題となる医学的事項を研究する学問です。当教室では、法医解剖等の実務を行う他、研究テーマは、質量分析等の技術による薬毒物の高感度分析法の開発及び乱用薬物の作用機序の解明です。現在、タンデム質量分析計等の最新機器を導入して研究を展開しています。また、中毒時の生体内分子の動態解析及び法医学へのメタボロミクスの応用等、学際的研究も積極的に推進しています。 血液・腫瘍内科では、白血病・リンパ腫などの「血液のがん」、血液を造ることができない「造血障害」、止血・血栓機能に異常をきたす「血液凝固障害」など、多 岐にわたる疾 患を対 象としています。血液専門医のほか、がん薬物療法や造血幹細胞移植の専門医も育成しています。研究分野では、分子病態解析、新たな分子標的治療や免疫細胞療法の開発などから臨 床・疫 学 研 究に至るまで、常に幅広い視 野に立って国 際レベルの 情 報 発信を行っています。循環器内科では、心臓・血管に関する幅広い研究や、先端医療を実践しています。冠動脈拡張術、カテーテルによる大動脈弁留置術、不整脈へのカテーテルアブレーション治療などを行っています。また名古屋大学は心臓移植の実施施設になっていますので、そのような重症の心不全患者さんの治療も行っています。基礎研究では、心筋や血管の再生医学、心不全に対する創薬研究、肥満や糖尿病が心臓血管に与える影響などについて研究しています。興味のある方は、是非連絡してください。 心臓カテーテル室 環境および労働に起因した健康障害について研究する学問です。このような健康障害を未然に防ぐために、作業環境における許容濃度、一般生活環境における環境基準等を提言するための様々な研 究を行っています。また、アジアの開発途上国で発生している環境や労働に起因した健康障害の予防に協力しています。 予防医学分野では疫学という研究方法を用い、疾病予防の手がかりを探索しています。疫学では、疾病の分布(いつ、どこで、どんな人で疾病の頻度が高い・低いのか)を記載し、その分布を決めている要因(生活習慣や遺伝要因など)を研究します。メカニズムは必ずしも問いません。たとえば喫煙者でがんにかかる頻度が高いのであれば、たとえ喫煙がどのようにしてがんを引き起こすのかが不明であったとしても、禁煙を促進することでがんのリスクは下げられます。私たちは現在、10万人以上を対象とした大規模な追跡調査(日本多施設共同コーホート研究[J-MICC Study])を全国の共同研究機関とともに行い、生活習慣や遺伝要因と、がんなどの生活習慣病発生リスクとの関連を検討しています。 医療を適切に提供するためには、その国における疾病構造、医療提供者、医療内容、医療費の支払い方法をよく考え、政府が適切な管理をする必要があります。各地域にはそれぞれの文化があり、経済発展段階も異なります。これらのことをよく検討し、それぞれの地域にあった方法で医療システムを構築することを研究しています。 消化器内科では、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)、肝臓、胆のう、膵臓に関連する疾患の診断と治療を行います。消化管出血に対する内視鏡的止血術などの緊急性の高い治療をはじめ、胃がん・大腸がん・肝臓がん・膵臓がんに対する治療、さらには慢性肝炎や炎症 性 腸 疾 患 など の 慢 性 疾 患 の 管 理 も行っています。診療だけでなく、研究や教育にも力を入れ、一人でも多くの患者さんの治療に貢献できるよう日々取り組んでいます。消 化 器内科は、幅 広い疾 患に対 応しながら医 療の最 前 線で活 躍できる、非常にやりがいのある分野です。 私たちは呼吸によって大気中から酸素を取り込み、大気中にあるウイルス、アレルゲン、がん原性物質、粉塵など様々な病気を引き起こす有害物質を厳密な調整によって肺から排除しています。この呼吸器のメカニズムを正確に理解することで、有害物質がもたらす感染症、腫瘍、アレルギーなどの呼吸器疾患の発症原因を解明しています。私たちは今までできなかった呼吸器疾患の最新の診断と治療法を開発して社会に役立つことを目指した幅広い研究に取り組んでいます。■ 国際保健医療学・公衆衛生学■ 法医・生命倫理学■ 血液・腫瘍内科■ 循環器内科■ 環境労働衛生学■ 予防医学■ 医療行政学■ 消化器内科■ 呼吸器内科社会生命科学講座医学系では、下記のような臨床各科について学びます。学習方法としては、少人数で行なうチュートリアル、講義、実習が組み合わされます。社 会 医 学 系臨 床 医 学 系

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る