研究・診療紹介 Research / Medical care体外式補助人工心臓による治療風景脳神経内科病棟総回診風景抗がん薬投与のため点滴を確保している風景 赤ちゃんからお年寄りまで、手術中の患者さんの命を守るのが麻酔科の仕事です。全身麻酔で意識のない患者さんのそばに常に寄り添い、呼吸を補助したり、出血や痛みなどの手術侵襲から守ります。その技術を応用し、重症患者の集中治療や痛みを持った患者さんの苦痛を取り除く治療(ペインクリニック)、緩和医療など幅広い分野で活躍しています。12 | Nagoya University School of Medicine 外科系集中治療部は、麻酔科が主体となって管理、運営を行っているICUで、医師の他、看護師、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士、栄養士他、多数の職種の専門家が連携して、外科系症例の最重症患者の治療を継続しています。24床を届け出ていますが、常に高い稼働率で推移しています。日勤帯は5- 6名、夜間勤務帯は2-3名の医師で絶え間無く診療に携わり、日夜、週末の区別は有りません。2024年1月から1年間の入室患者数は2,096名でした。生死の狭間にいらっしゃる方々を常にサポートし、外科に関わらず、内科、小児科、全てのスキルを総動員して、救命から社会復帰に至る過程を目指しています。日本集中治療医学会の集中治療専門医認定施設である事から、医師として、どの様な病態をも診断でき、適切な治療を実施可能な能力の醸成を目指していますが、まだまだ道半ばの状態です。時には、望むべき結果が得られず、患者さん、そしてそのご家族の方々と、悲しみを覚える時間も経験しますが、その思いをまた心に刻み、個々人の医療従 事 者だけでなく、連 携したチームとしても一 丸となって、より高度の治療に取り組めるよう、厳しいながらも明るい雰囲気を保つ努力を続けています。皆様の応援を宜しくお願い申し上げます。(写真は重症心 不 全の方で、体 外 式 補 助 人 工 心 臓による治 療を行っている様子です。2017年からは心移植も行われる様になり、周術期の管理を担当させて頂いております。) 脳卒中・脳腫瘍・てんかん・脊髄疾患・小児脳神経疾患・頭痛を含む神経性疼痛などを診療対象とします。近年の医学・工学領域の発展に伴い、脳神経外科の診断・治療技術は目覚ましい発展を遂げ、手術件数も増加の一途をたどっています。名大病院は、近未来型脳神経外科手術室”Brain Theater”を用いて最 高 精 度を誇る手 術を行うとともに、手 術ロボットを応用した定位脳手術、脳血管内からのカテーテルを用いた疾 患 治 療など「 切らない手術」も多数実施しています。中枢神経系難治疾患への新規治療開発も精力的に進めてまいります。 診療対象は、脳卒中、認知症、てんかん、頭痛、めまいなど、日常診療で良く遭遇する疾患から、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群などの免疫性疾患など広範囲に及びます。既に有効な治療法のある疾患を正しく診断・治療するとともに、神経科学研究や臨床試験などを通じて、新しい治療法を開発することを目指しています。 成人期に見られる、うつ病、双極症、統合失調症、認知症、パニック症、強迫症、社交不安症、摂食症などの精神疾患、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動症などの神経発達症を主な診療対象としています。また、リエゾン精神医学と言われる、がんや移植手術など身体疾患や妊娠出産などを控えた患者が抱える問題に関しても精神医学的にアプローチしています。その中で、心理社会的側面、また身体的側面を多角的に評価・介入しながら、最適な診断法、治療法を選択するように心がけています。 また、研究では、生物学的精神医学(ゲノム研究など)を主体に行なっていますが、 当事者のニーズに即すことを企図しながら、疾患メカニズム解明を目指しています。 血液疾患や手術時に必要な輸血のための血液型検査、不規則抗体スクリーニングなどの検査と、赤血球、血小板、新鮮凍結血漿などの輸血用製剤、血漿から作られるアルブミン、凝固因子などの血漿分画製剤の管理および支給を行います。また自己血採取や再生医療の一環として、CAR-T細胞治療など細胞治療に必要な幹細胞の採取・保存も行っています。いかなる時間、状況にも対応できるよう、検査部・病理部とともに24時間体制で稼動しています。 血液、尿などを検体として、血算、生化学、免疫学などの検査を行います。これらの検査は病気の診断や治療方針の決定、経過を見ていくために必要です。また血液、尿以外の喀痰、膿などの材料を検体として細菌検査も行い新型コロナウイルスのP C R 検 査も担当しています。検 体 検 査に加えて、心 電 図 、心エコー、脳波、筋電図などの生理的検査も行い、さらに現在では遺伝子検査などの新しい検査も行います。緊急検査についてはいかなる時間、情況にも対応できるように輸血部とともに、24時間体制で稼動しています。 病理部とは、病理診断、病理解剖などを行う部門です。患者さんが直接病理部を受診することはありませんが、検査や手術で採取された臓器の一部や細胞は、ここで病理医によって病名が確定されます。一方、病理解剖は病気で亡くなった方の死因の原因を調べるために行われます。解剖を行う事により、臨床診断が適切であったか、治療効果がどれほどであったか、主疾患とは別の病気があったかなどを確認することができます。 「がん」の薬物治療(抗がん薬治療)を専門とする部門です。肺がん、乳がん、大腸がんなどすべての「がん」について、それぞれの専門領域の医師と相談しながら治療を行います。副 作 用や合 併 症 の 対 処 法 、稀 な「 がん 」の 治療 、緩 和ケアについての 相 談(コンサルテーション)も受けています。また、がんゲノム医療や未来の抗がん薬を開発するための臨床試験や治験も行っています。 児童青年期における、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、限局性学習症などの神経発達症や、分離不安症、社交不安症、身体症状症、摂食障害(神経性やせ症、回避制限性食物摂取症など)、強迫症、うつ病、双極症、統合失調症などの精神疾患を主な診療対象としています。また、癌などの身体疾患をもつお子さんやご家族が抱える問題に関して精神医学的側面からサポートしていくリエゾン領域でも活動をしています。診療に際しては、お子さんの発達段階、心理社会的側面、身体的側面についても考慮しつつ、お子さんとご家族の意向を大切にしながら検査や治療を行うようにしています。 研究については、疾患メカニズム解明を目指す生物学的な研究(精神遺伝学研究など)を行ったり、お子さんの発達促進や適切な健康管理に寄与することを目指して神経発達症と併存する身体疾患に関連する臨床研究を行ったりしています。 総合周産期母子医療センターは、妊娠、分娩、新生児に対する医療を産婦人科と小児科が中心となって行っています。センターは生殖・周産期部門と新生児部門から構成され、生殖・周産期部門は体外受精等の不妊治療およびハイリスク妊娠の管理を行ってます。また、近年はケースワーカーや地域の保健師等と協働で周産期メンタルヘルスにも力をいれてます。新生児部門は、早産・低出生体重児のみならず、新生児外科疾患症例や未熟児網膜症症例などの病気をもった新生児も入院をしてくるため、小児外科・眼科等の他科とも連携をして治療にあたっています。 病気の治療において薬物療法は重要です。薬剤師は薬の専門家としてチーム医療に参加し、適切な薬物療法の提案を行っています。特に、薬の効果と副作用には個人差があり、人それぞれ異なります。私たちは、患者さんの状態に合わせた薬物治療を目指して、基礎および臨床研究にも取り組んでいます。 ■ 麻酔科■ 外科系集中治療部■ 脳神経外科■ 脳神経内科■ 精神科■ 輸血部 ■ 検査部■ 病理部■ 化学療法部■ 親と子どもの心療科(児童精神科)■ 総合周産期母子医療センター■ 薬剤部
元のページ ../index.html#14