名古屋大学工学部・大学院工学研究科 2026
3/36

図 開発中のDAC(Cryo-DAC®)のしくみ。アルカリ性の液体に二酸化炭素を吸わせて濃縮し、冷熱による減 圧で吸 収 液からC O 2を回収、ドライアイス化、これを密閉下で環境温度に戻し、輸送や地下貯留にも適した液化炭酸として出力することを目指します。(A)充電促進時間帯導入            (B)電力需要試算例サブTHzスピンダイナミクス評価手法の概要台湾國立成功大学の実験施設中国天津大学の実験施設本熱制御デバイスの昼夜の動作の様子 2テラヘルツで動作する反強磁性体・フェリ磁性体を用いたスピンデバイスは、近年発展が目覚ましい情報通信処理分野や超高速エレクトロニクスにおける次世代デバイスとして期待されており、デバイス応用に資する薄膜材料のテラヘルツ特性評価が急務です。物質科学専攻量子スピン物性研究グループでは、高出力テラヘルツ光源であるジャイロトロンを利用しサブテラヘルツ帯における磁性薄膜の磁化ダイナミクスの測定手法を世界で初めて実証しました。これまで困難とされていた磁性薄膜のテラヘルツ評価技術の先駆けです。大気中二酸化炭素直接回収、Direct Air Capture(略してDAC)といわれる技術の研究開発を進めています。DACは、産業革命以降、人類が化石資源の大量消費により、地球の吸収能力を超える二酸化炭素を排出した結果、大気に蓄積させてしまった二酸化炭素を、いわば、人為的に除去する技術です。液化天然ガスなどの極低温流体の未利用の冷熱を活用するユニークなアプローチで、DAC技術の高効率化に向けた開発を、ガス会社やプラントエンジニアリング等と共に進めています。再生可能エネルギー大量導入時の余剰電力を活用して電気自動車に充電すれば、CO2を出さずに車で移動できます。その実現にはどんな仕組みが必要か、どのようなインフラ整備が必要かを検討するための基礎データとして、自動車起終点調査(ODデータ)等の統計データ等を活用し、様々な将来シナリオに応じた電気自動車の充電需要を計算するモデルを構築しています( 図 A )。その結 果 は 将 来 の 配電系統における電力 需 給 解 析 にも活用されています(図B)。2025年度より、機械・航空宇宙工学科では、AIを中心としたデジタル技術を学ぶ新たな教育プログラムを開始します。本プログラムでは、少数の学生が選抜され、従来の機械・航空宇宙工学に加えて、AIや機械学習などの先端的なデジタル技術を体系的に学習します。急速に進化するデジタル社 会に対 応し、技 術 革 新を担うためには、分野横断的な知識と柔軟な発想が求められます。本プログラムは、次 世 代の工 学をリードし、新たな価値を創出できる高度専門人材の育成を目的としています。近年、宇宙開発の月探査競争が激化しています。日本が参加する「アルテミス計画」では、月周回ステーション「ゲートウェイ」の建設や、有人月面探査車による活動拡充が計画されています。月面ローバは大きな温度差環境で活動するため、省エネルギーで昼の放熱と夜の断熱を行うヒートスイッチ技 術が必 要です。本研究では、無電力のループヒートパイプ(LHP)と低消費電力の電気流体力学(EHD)ポンプを組み合わせた新しい熱制御デバイスを開発し、研究室での実験においてその機能を実証しました。2022年以降、さまざまな3D生成AI(text-to-3Dモデル)が続々と登場しています。ただし、構造力学的な設計への適用は進んでいません。そこで計算力学・最適設計学研究室では、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた超多ケース・シミュレーションにより構築した構造力学的パラメータと3D形状がペアになったデータセットに基づく3D生成AI(parameter-to-3Dモデル)の研究を進めています。これまでに1万ケースの自動車コンポーネント構造の衝突シミュレーションを実現し、力学的性能を指定して3D形状を生成するAIを世界で初めて提案し、そのparameter-to-3Dタスクの精度を定量的に明らかにしました。台湾國立成功大学設計学部の研究者、中国天津大学建築工程学院の研究者と、それぞれ大規模な震動実験に基づく国際共同研究に取り組んでいます。我が国をはじめとする地震国では、大地震時における建物群の損傷が社会に多大な損害をもたらします。本研究では、再現性の高い総合実験によって、様々な観点から、地震動による建物の損傷過程、破壊過程を解明します。数値シミュレーション技術も援用し、新技術による性能向上を定量的に明示することで、社会の建物群を高耐震化に導く次世代型の設計法の構築を推進しています。磁性薄膜のサブTHzスピンダイナミクス評価▲ 物質科学専攻 森山 貴広 教授大気中二酸化炭素除去技術の研究開発▲ 化学システム工学専攻 則永 行庸 教授余剰電力による電気自動車充電モデルの構築▲ 電気工学専攻 加藤 丈佳 教授AI□工学の人材育成プログラムがスタート▲ 機械システム専攻 竹内 一郎 教授高温・極寒に耐える省エネ宇宙機熱制御技術▲ エネルギー理工学専攻 西川原 理仁 准教授力学的性能値から3D構造を生成するAIの研究▲ 土木工学専攻 西口 浩司 准教授建築耐震技術の向上、耐震性能評価手法の構築に向けた国際共同研究▲ 減災連携研究センター/環境学研究科 都市環境学専攻/ 工学部 環境土木・建築学科 長江 拓也 准教授

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る