大阪市立大学 大学案内2020
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 現在、大阪のシンボルとして親しまれている大阪城は、徳川期の天守台の上に、昭和初期に再建されたもの。しかしその地下に、400年以上も前に豊臣秀吉が築いた大坂城の手がかりが眠っていることを知る人は少ないのではないでしょうか。その姿は、17世紀に筆写された絵図や部分的な発掘調査により明らかにされてきましたが、本学ではサウンディング調査などの先端的な方法でアプローチ。石垣や堀の位置を数10㎝以内の誤差で調査し、これまで不明とされてきた城郭の実態解明とその復元に挑んでいます。文献・絵図や考古学の文系の調査と、地質学などの理系の研究のコラボレーションにより、最終的には精緻な三次元復元を完成させたいと考えています。異分野融合・先端研究で持続可能な社会に貢献ACTION 1.研究国際社会で活躍するためのグローバルな学びを展開ACTION 2.教育へつながる学び新たな公立大学モデルへの挑戦 ̶魚も鏡に映る姿を自分だと認識できる̶。理学研究科 幸田教授らの研究グループは、魚類が鏡に映る姿が自分だと認識できることを世界で初めて報告。これまで鏡に映る姿が自分だと認識できる能力「鏡像自己認知」を有するのは、ヒト以外ではチンパンジーやイルカ、ゾウ、カラスなどの高度な社会生活を送る限られた動物のみとされていました。今回の研究では、高い認知機能を示す魚類の一種であるホンソメワケベラを対象に自身からは直接見えない場所に寄生虫に似せた印を付けたところ、鏡を見た後に印部分を頻繁に見るようになり、やがて水槽に体をこすりつけ、寄生虫を落とそうとする行動が見られたことから、魚もヒトと同じく鏡像自己認知ができると明らかになりました。この発見により、ヒトや霊長類だけでなく、他にも多くの動物が自己認知といった高度な認知機能を有する可能性が示唆されました。総合大学として社会に貢献【【研究世界の常識を覆す大発見「鏡に映る自分」が分かる魚を初めて確認〈理学研究科 教授 幸田正典〉研究3OSAKA CITY UNIVERSITY※大坂城…近代以降は大「阪」城とするのが通例。〈文学研究科 教授 仁木宏、理学研究科 教授 三田村宗樹など〉400年以上前の城郭の復元に挑戦最先端の地質調査で地下に眠る豊臣秀吉の大坂城を探る遺構になるべく傷を付けないよう、サウンディングと呼ばれるボーリング調査を実施。錐(キリ)を地中に突き刺し、豊臣時代の石垣や堀、地表面の位置、深さ(標高)の正確なデータを収集します。地層の硬さによって錐の進むスピードが変化し、その微妙な変化を読み取ることによって400年以上前の城郭の形の推測が可能に。国の特別史跡であるため、地道な作業を丁寧に行います。

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