大阪大学 GUIDEBOOK 2021
47/84

高齢化による歯科疾患の多様化や歯科医療に対するニーズの変化に応えるため、臨床と基礎の壁を取り払い、最先端の「口」の研究遂行に力を注いでいます。また、“食べる”“味わう”といった口を通した行動を科学的に追究。「口」の健康に基づく生活の質の向上を目指し、世界の歯科医学のリーディング機関として研究を進めています。社会の高齢化と生活の質向上に応える「口」の研究薬学研究科では、創成薬学と医療薬学の2専攻を設置しています。本研究科では、薬学を総合的なライフサイエンスの発展を目指す学問領域と位置付け、高度な「創薬基盤技術力」と「創薬臨床力」の修得を目指した研究教育を推進することにより、広範な分野において、トップランナーとして活躍できる人材を多数輩出しています。薬学を通じて、ライフサイエンスの発展に貢献する特集大学院研究科紹介教育システムキャンパスライフインフォメーション薬学研究科大学院歯学研究科大学院理学研究科/医学系研究科/歯学研究科/薬学研究科FGF-2製剤で誘導された、歯槽骨の再生。黄色の線は、歯槽骨の高さを表します。最適条件(サイズや性状)のナノマテリアルは、胎盤や脳などにも薬物送達が可能。■Topics■Topics 「何でも美味しく食べられる」ことは万人の望みであり、そのためには生涯にわたって口の健康を守り高めることが必要不可欠です。すべての人に約束されるべき「口が支えるQuality of Life (生活の質)」を維持・向上させるために、本研究科では歯のみならず口全体の健康と病気を科学し、新しい診断法・予防法・治療法の開発に取り組んでいます。 例えば、歯を支える骨や歯ぐき(歯周組織)を破壊する病気である歯周病は、歯の寿命を脅かす第一の原因です。歯周病を引き起こす細菌の塊(デンタルバイオフィルム)を取り除くことで、この病気の進行を食い止めることはできますが、失われた歯周組織を取り戻すことはできませんでした。本研究科では、塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)という成長因子を応用した世界初の歯周組織再生薬の開発に成功し、近年、その実用化を果たしました。また新たな取り組みとして、幹細胞移植による歯周組織再生医療の開発・実用化を着々と進めています。 このように、本研究科は口の健康科学の国際的拠点として世界の歯学研究を牽引し、そのもとで、次世代の歯科を担う人材育成を精力的に推進しています。最先端の歯周組織再生医療技術開発への挑戦 生命の理を解明し、その攪乱により発症する疾患の原因を探り、さらにその原因となる分子機能を制御する化合物、抗体、核酸や細胞などの研究は、疾患治療薬の創製につながることが期待できます。本研究科では、「化合物ライブラリー・スクリーニングセンター」や「創薬センター」を設置することにより、アカデミアの創薬等ライフサイエンス研究を牽引しており、難病や希少疾患などに対する革新的治療薬の創製を進めています。さらに学内の産業科学研究所、微生物病研究所などの協力講座、学外の循環器病センター、医薬基盤・健康・栄養研究所、医薬基盤研究所、大阪国際がんセンター、医薬品食品衛生研究所、医薬品医療機器総合機構などの連携講座との連携や、2つの寄附講座、5つの共同研究講座の設置により、最先端創薬研究を推進しています。 また本研究科では、「高度先導的薬剤師の養成とそのグローバルな活躍を推進するアドバンスト教育研究プログラムの共同開発」の実施により、優れた「先導的薬剤師」の輩出とそのグローバルな活躍を支援しています。 このように、本研究科ではさまざまな研究プロジェクトや大学院教育プロジェクトによって、学部教育において培った「創薬基盤技術力」と「創薬臨床力」をさらに強化・高度化し、「ものづくり(創薬)」を通して、ヒトの健康に大きく貢献できる人材の育成を推進しています。「ものづくり(創薬)」を通して、ヒトの健康に大きく貢献治療後治療前口腔科学創成薬学(博士前期課程・博士後期課程)/医療薬学(博士課程)45

元のページ  ../index.html#47

このブックを見る