大阪大学 GUIDEBOOK 2023
2/84

 大阪大学は、大阪の政財界ならびに大阪府市民の強い要望を受け、1931年に帝国大学の一つとして創立されました。そして、その精神的源流は江戸時代の懐徳堂と適塾に見出すことができます。この二つの学問所では、志をもった若者や学びの意欲をもった町民らが一心不乱に勉学にいそしみました。この学びの意欲を大事にするという学風と新しいことを吸収しようとする精神が大阪大学に継承されているのです。 また、2007年に大阪外国語大学との統合という大事業を経て、人文学・社会科学系、医歯薬生命系、理工情報系の充実した学部に加え、世界の25言語を学ぶことができる外国語学部を持つ、わが国有数の総合大学になっています。 いま、大学を取り巻く環境は急激に変化しています。たとえば、昨今の新型コロナウイルス感染症は世界的な規模で社会生活に大きく影響を及ぼしており、さまざまなグローバル化の波も猛烈な勢いで押し寄せています。日本国内では急速な高齢化と人口減少が進行している一方、世界に目を向ければ環境問題、エネルギー問題、民族紛争など、解決を求められている課題が山積しています。このような状況のもと、大学はどのような学生を育てて社会に送り出してくれるのか、と問いかけられています。 これに対して、私はこう答えたいと思います。大阪大学は学びの意欲を持つ学生を社会から信頼される専門性と教養と人格を持った人間に育てて社会に送り出したい、と。正解があるかどうかもわからない課題に取り組む意欲、問題が発生している現場に出かけていく勇気、多様な人びととのネットワークを作る構想力、世界に発信するコミュニケーション能力、いま必要なのはこういう力を持った若者だと思います。 皆さんはグローバルとローカルを組み合わせた「グローカル」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。たとえば、今日は国内の山間部で住民とコミュニケーションを取り信頼されて調査・研究をしていると思えば、明日はニューヨークで開催されている国際会議において研究成果を発表するといった、地域に根差した視点を持ちつつ世界も視野に入れて活躍する学生、つまり、「地域に生き世界に伸びる」という大阪大学のモットーをまさしく実践するのがグローカルな資質を持った学生です。こんな学生を育てたい。 大阪大学は「高度な専門性と深い学識」「教養」「国際性」「デザイン力」を教育の目標としています。そしてキャンパスの雰囲気は「オープン」そのものです。学びの意欲のある学生を大切にし、さまざまなチャレンジを支援する空間。この空間を精一杯活用して、充実した学生生活を送って欲しいと思います。 それでは皆さん、大阪大学でお会いしましょう。1951年生まれ。岐阜県出身。1975年京都大学工学部卒業。1980年京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了(工学博士)。専門分野はデータ工学。1992年大阪大学工学部教授。その後、大阪大学大学院情報科学研究科教授、同サイバーメディアセンター長(初代)、文部科学省科学官、大阪大学大学院情報科学研究科長、同理事・副学長などを歴任し、2015年8月より現職。2011年紫綬褒章、2014年文部科学大臣賞、2016年文化功労者など多数受賞。大阪大学総長西尾 章治郎オープンなキャンパスで学びませんか

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る