大阪大学 GUIDEBOOK 2023
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?!基礎工学部教授からのメッセージ在学生からのメッセージ化学応用科学科超音波で集まる分子 音で分子は集まらない。石鹸や化粧品、食品など多様な分野で重要な役割を演じる「分子集合」の科学におけるこの常識は、洗濯バサミのような形状をした新しい分子を生み出すことで打ち破られました。この分子を微量溶かしたサラサラの溶液に、弱い超音波を情報科学科深層ニューラルネットの原理に迫る数理科学 ニューラルネットは、音声認識、自動翻訳、画像認識などのさまざまな分野で極めて大きな有効性が確認されている近年の技術です。とくに「深い」ニューラルネットの有効性は応用の現場では知られていますが、その理由を与える理論はいまだ存在しません。例え 科学と技術の融合による科学技術の根本的な開発を理念とし、理学と工学の双方の視点を備えた人材育成に取り組んでいます。軸足となる専門知識と技能に加え、社会と結びつける幅広い教養と国際性、それらを活用して新しい学術分野を切り開いていく思考力・創造力を身につけ、科学技術に支えられた社会を先導する人になってください。磁石の性質(スピン)を半導体中で活用することで、超低消費電力半導体デバイスを実現しようという最先端の挑戦です。最近の研究で、半導体中に室温で磁石のメモリ機能が発現することを実証しています。ビッと数秒照射すると、分子が連続的にかみ合う特異な分子集合が起こり溶液は瞬間的に固まります。この新現象は現在、免震、漏えい防止に必須の瞬間固化や、瞬間発光技術への応用に向け、基礎的、応用的観点から研究が進められています。ば、数学I「関数」、数学IB「数列」、数学III「微分積分」の「先」にある現代解析学を用いると、深層ネットの数理モデルを得ることができますが、これは統計学や最適制御理論も関係する数理的問題を提起しており、現在活発に研究が進められています。 基礎工学部は、理論を深く学び4年次の研究へと応用していく、理学部と工学部の融合とも言える特徴的な学部です。2年次に配属されるコースによって学ぶ内容や範囲は異なり、私は量子力学・統計力学を軸とした物性物理学を学んでいます。両立できるかは自分の努力次第ですが、勉学だけでなく、部活動や趣味も充実した楽しい大学生活を送りましょう!よくある質問基礎工学部の教育の特徴はなんですか?特集教育システム学部紹介磁石のメモリ機能を半導体に移行する超高品質な異種接合(電子顕微鏡写真)洗濯バサミ分子の超音波応答性分子集合による安定溶液の瞬間ゲル化ニューラルネットを規定する微分方程式系キャンパスライフインフォメーション和田 成生基礎工学研究科長・基礎工学部長専門分野:バイオメカニクス・医工学理学と工学の視点を備えた人材を育成数学と物理を充実させた基盤教育、理学と工学のバランスのとれた専門教育が特徴です。QA河野 由依宮崎県立宮崎大宮高校 出身電子物理科学科4年生(物性物理科学コース)理論を深く学び、研究に応用する43■Topics■Topics電子物理科学科新たな機能を持つ半導体デバイスの研究 AI・IoT・ICT技術などの中心を担っている半導体デバイスの電力消費量は年々爆発的に増大しているため、カーボンニュートラル社会の実現に向けて大きな課題となっています。これを克服する取り組みのひとつに「スピントロニクス」があります。これは、電子の持つ

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