大阪大学 GUIDEBOOK 2023
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経済学研究科/理学研究科/医学系研究科/歯学研究科しています。 例えば、軟骨は関節において骨の表面を覆い、滑らかな関節運動に欠かせません。怪我をして膝や肘の軟骨に穴があくと、痛くて動けなくなります。受精卵に近い性質を持つiPS細胞を適切な条件下で培養すると、さまざまな組織を作ることができます。本研究科では、受精卵から軟骨ができるしくみを解き明かし、それを応用することでiPS細胞から軟骨を作ることに成功しました。その作った軟骨を、傷んだ関節軟骨の穴があいたところに移植することで、膝や肘を元通りに動かせるような再生治療の開発と実用化を進めています。止めることはできますが、失われた歯周組織を取り戻すことはできませんでした。本研究科では、塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)という成長因子を応用した世界初の歯周組織再生薬の開発に成功し、近年、その実用化を果たしました。また新たな取り組みとして、幹細胞移植による歯周組織再生医療の開発・実用化を着々と進めています。 このように、本研究科は口の健康科学の国際的拠点として世界の歯学研究を牽引し、そのもとで、次世代の歯科を担う人材育成を精力的に推進しています。医学(博士課程)/医科学(修士課程)/保健学(博士前期課程、博士後期課程)口腔科学特集教育システム大学院・研究科iPS細胞から作った軟骨の外観(上)と組織像(下)。固さと弾性があります。FGF-2製剤で誘導された、歯槽骨の再生。黄色の線は、歯槽骨の高さを表します。治療前治療後キャンパスライフインフォメーション紹介47■Topics体ができるしくみを解き明かし、傷んだ体を再生する 私たちの体は60兆個の細胞でできています。神経、内臓、皮膚、骨・軟骨、筋肉などの組織や臓器を作るため、各細胞は違った働きをします。体のすべての細胞は、受精卵という1個の細胞から発生します。受精卵は細胞分裂によって細胞の数を増やしながら徐々に違ったタイプの細胞になり、組織/臓器が作られます。 遺伝子異常、加齢、怪我、感染などで組織や臓器は傷み、病気になります。薬や手術で治せない病気はたくさんあります。そんな傷んだ体を治す方法のひとつが再生治療です。本研究科では受精卵から体の各組織/臓器が作られるしくみを調べ、再生治療法を開発■Topics最先端の歯周組織再生医療技術開発への挑戦 「何でも美味しく食べられる」ことは万人の望みであり、そのためには生涯にわたって口の健康を守り高めることが必要不可欠です。すべての人に約束されるべき「口が支えるQuality of Life (生活の質)」を維持・向上させるために、本研究科では歯のみならず口全体の健康と病気を科学し、新しい診断法・予防法・治療法の開発に取り組んでいます。 例えば、歯を支える骨や歯ぐき(歯周組織)を破壊する病気である歯周病は、歯の寿命を脅かす第一の原因です。歯周病を引き起こす細菌の塊(デンタルバイオフィルム)を取り除くことで、この病気の進行を食い世界をリードする、ゲノム医療と解析研究拠点医学・医科学専攻では、高度な研究能力とその基礎となる豊かな学識を有する人材を養成します。産学交流の絆も深く、先端的な研究を社会実装することも重要な任務です。保健学専攻では、柔軟な思考力と高度な専門知識を持ち、時代に即した看護・医療技術科学の発展をリードする研究者の育成を目指しています。社会の高齢化と生活の質向上に応える「口」の研究高齢化による歯科疾患の多様化や歯科医療に対するニーズの変化に応えるため、臨床と基礎の壁を取り払い、最先端の「口」の研究遂行に力を注いでいます。また、“食べる”“味わう”といった口を通した行動を科学的に追究。「口」の健康に基づく生活の質の向上を目指し、世界の歯科医学のリーディング機関として研究を進めています。大学院大学院医学系研究科歯学研究科

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