富山県立大学 研究室ガイドブック2023 看護学部
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17リポートリポート老年看護学講座教授    木谷 尚美老年看護学講座教授    張 平平初期認知症高齢者が「いま」の危機的状況を乗り越え、認知症を持ちながらでも老年期の発達課題(*)である「人生の統合」を獲得できるような看護支援プログラムの開発に取り組んでいます。初期認知症高齢者が老年期の発達課題である「人生の統合」を獲得するための「現在・過去・未来を語り、オレンジノートに遺す支援プログラム」の開発に取り組んでいます。認知症初期の段階であれば十分に自身の思いを語ることができ、この時期の看護は認知症高齢者の生き方の決定に生かすための支援につながると考えています。現在は診療所に勤務する看護職が初期認知症高齢者支援を実践するための教育プログラムを作成中です。高齢者において病気やケガなどによる自覚症状が最も多いのは腰痛です。地域で生活する高齢者の慢性腰痛改善を目指して,東洋医学の知恵を活かした経穴刺激セルフケア方法の開発に取り組んでいます。本研究では、地域高齢者自身がやりやすく、臨床で鍼灸効果が検証された腎虚腰痛の改善につながる経穴として、「腎経」と「脾経」に属する下肢3箇所の経穴(①築賓〈ちくひん)、②復溜〈ふくりゅう〉、③漏谷〈ろうこく〉)を精選します。老年看護の専門家と東洋医学の専門家による指導と安全確認のもと、地域高齢者が自ら経穴刺激法を実施します。腰部血流の増加につながる経穴刺激の効果は主観的・客観的な側面から評価します。初期認知症高齢者が現在、過去、未来を語ることの支援は、対象者の生涯発達を支えるのみならず、支援者にとっても認知症とともに生きる人の個別性、生きることの現実の理解につながることがわかりました。※オレンジノートとは、現在・過去・未来の語りの内容を書き遺したもの 「3つの経穴の位置」Aさんのオレンジノートの表紙「経穴への刺激方法」24Nursing Science and Practice初期認知症高齢者への人生の統合に向けた看護25Nursing Science and Practice東洋医学の知恵を活かした地域高齢者の健康増進研究分野老年看護:認知症ケア・意思決定支援(*)・発達課題(*)研究内容私の研究のポイント研究分野老年看護学:健康増進、腰痛改善、経穴(*)刺激研究内容私の研究のポイント

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