富山県立大学 研究室ガイドブック2023 看護学部
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20リポートリポート老年看護学講座助教    村上 章老年看護学講座助教    米山 真理高齢化を背景に、認知症高齢者が身体疾患の治療目的に入院することが多くあります。認知症看護実践に影響すると考えられる「イメージ」を探究し、特に急性期病院に従事する看護師の実践力向上への寄与を目指します。「イメージ」形成には様々な要因が関連し、それらを統合し1つのイメージが作られます。個人の内面で形作られる事を踏まえると、その過程には個人の自己内省的視点が欠かせないと言えます。これまでに、「認知的評価」や「私的スピリチュアリティ」「共感経験」といった概念と、看護師の認知症イメージ形成を検討してきました。現在は、ユマニチュードの実践を経た看護師の認知症イメージや、尺度開発に向けた研究を進めています。レビー小体型認知症は物忘れが目立たず、幻視などの特徴的な症状が出現します。そのような症状があっても、その人らしく生活できるように、認知症をもつ人やその家族に対する看護支援について研究をしています。これまでに、レビー小体型認知症の人を介護する家族の体験や思いを明らかにしました。家族は様々な症状に振り回されながらも、対応方法を模索している状況がありました。この現状を踏まえ、認知症看護認定看護師が行っている看護実践について調査しています。さらに、今後はレビー小体型認知症をもつ当事者の思いも調査した上で具体的な看護実践を示し、医療職者や家族への教育プログラムの開発に繋げていきたいと考えています。看護師の認知症イメージと認知症看護実践に関する研究の概念図概念図に示しているように、認知症イメージへの影響要因や要因間の関連、認知症イメージが看護実践に対してどの様な帰結を生むのか等、幅広く研究しています。レビー小体型認知症の人を介護する家族の体験を図で表しました。専門職者からの支援が、家族にとって支えるになる場合も、かえって介護負担を強めてしまう場合もあることがわかりました。この結果を踏まえて、認知症看護認定看護師の看護実践について調査を行っています。30Nursing Science and Practice看護師の認知症イメージ(*)と認知症看護実践の関連31Nursing Science and Practiceレビー小体型認知症(*)をもつ人や家族への看護支援研究分野老年看護学:認知症イメージ・尺度開発研究内容私の研究のポイント研究分野老年看護学:認知症ケア、家族支援研究内容私の研究のポイント

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