富山県立大学 研究室ガイドブック2023 看護学部
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23リポートリポート母性看護学講座准教授村田 美代子母性看護学講座講師北島 友香育児に慣れない母親にとっては乳児の泣きがストレスとなり疲弊する母親も少なくありません。そこで子育て中の母親が乳児の泣きに対して、抱き方で対応力を高めることを目標に、乳児のなだめやすさを検証して います。出生後の乳児の抱き方は横抱き、縦抱き、生理的屈曲姿勢抱きなどがあり、抱き方における乳児の生理学的影響を明らかにすることで、母親やその家族の育児支援につながると考えています。抱き姿勢画像の機械学習の分析では、生理的屈曲姿勢抱きの識別は、91.0%の正解率が得られ、今後子育て中の親に限らず、出産前から人形を用いた抱き方の自己チェック等ができるアプリ開発など親になる人々への活用ができるのではないかと考えます。妊娠・分娩による影響で、排尿トラブルを経験する女性は多く存在します。周産期の下部尿路機能の実態に合わせた根拠のある排尿ケアの普及につながるよう、妊娠期から分娩後の女性の下部尿路機能を調査しています。従来、主観的情報によって評価されていた尿量や尿意を、本研究では携帯型超音波画像診断装置(エコー)(*)を用いて可視化し、妊娠期および分娩後の下部尿路機能の特徴を客観的に捉えてきました。下部尿路機能に限らず、周産期の女性には多くの変化が生じます。従来の観察手法による主観的情報にエコーを用いた可視化を加えることによって、女性に起こる現象をより的確に評価できる教育プログラムの構築につなげたいと考えています。【研究1】助産師が未定頸乳児(*)を生理的屈曲姿勢・縦姿勢抱きで休憩をはさみ、抱き方を替えてそれぞれ10分間、生理学的データを測定し、モーションキャプチャーでの画像を録画した。【研究2】母親が未定頸のわが子を日常の抱き方で抱き15分間生理学的データ測定。現在、調査継続中【看工連携】本大学における工学部と看護学部の研究協力連携において、抱き姿勢の行動観察並びに評価・分析に工学部 情報システム工学科鳥山朋二教授、浦島智講師、森島信講師に協力支援を受けている。また研究遂行にあたっては母性看護学講座の松井教授、小林講師と研究1・2を、研究1では岡田助教、三加助教、西村助教と共同研究を行っている。右のグラフは分娩直後の女性の膀胱内尿量を経時的に調査した結果である。1時間あたりの尿貯留量は一般的な成人の2〜3倍であった。しかし、通常であれば強い尿意を感じる尿量であっても、全員尿意が減弱しており、分娩直後は膀胱が充満しやすいという特徴があった。携帯型超音波画像診断装置を用いた膀胱内尿量の測定(右図エコー画像より約300mLの尿量が算出できる)測定環境(協力:産科診療所)測定機器心拍変動解析(*)※画像は株式会社GMS社のMemCalc/BonalyLightHPから転用35Nursing Science and Practice乳児の抱かれる姿勢の違いにおけるなだめやすさ36Nursing Science and Practiceエコーを用いた周産期女性の下部尿路機能(*)の探索研究分野母性看護学:親子相互作用・育児支援・乳児の泣き研究内容私の研究のポイント研究分野母性看護学 周産期 下部尿路機能 超音波画像診断装置研究内容私の研究のポイント

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