富山県立大学 研究室ガイドブック2023 看護学部
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29リポートリポート在宅看護学講座講師山﨑 智可在宅看護学講座助教枝川 奈都美看護ケアとして手浴や足浴等が実施されています。しかし、肘まで湯につける前腕浴は看護ケアでは一般的ではありません。そこで前腕浴に着眼し、脳活動に与える影響について検証しています。脳活動の測定は、非侵襲的な近赤外分光脳イメージング装置(Near-infrared spectroscopy, NIRS)を用います。NIRSは、神経活動にともなって生じる脳血流量の変化を計測します。前腕浴を含めた部分浴(手浴、足浴等)は、身体の一部を湯によって温めるため、皮膚血流に大きな影響を与えます。そこで皮膚血流を除去し脳血流のみを抽出することによって、前腕浴の脳活動を検証することを試みています。地域包括ケアシステムの推進に伴い、長く在宅生活を維持し生活できる体制構築が求められています。通院時の生活継続支援や看取り支援について、在宅サービスの円滑な活用の観点から研究しています。一旦入院が必要な状態になると、身体の状態が完全に回復することが難しい場合が多くみられます。体が一旦弱ってしまうと元の生活に戻れない不安が強くなってしまい、自宅へ帰る自信を取り戻せない患者さんも多くいます。日本では、このように様々な疾患を抱えていても在宅で過ごせるように、医療・介護・福祉といった複数の在宅サービスを利用できる地域包括ケアシステムという体制の整備が勧められています。これらのことから、入院を必要としない早期の段階での、在宅サービスの活用を検討しています。NIRSを装着し前腕浴を実施外来と在宅の結びつきを分析し、在宅サービスによる充実した生活支援の方針を探求します。【実験の様子】近赤外分光脳イメージング装置左右の2点を計測上記の装置により、血中の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)と脱炭素化へモグロビン(Deoxy-Hb)が計測できます。これらのデータから、湯で温められた際に生じる皮膚血流を除去した脳血流のみを抽出します。前腕部分【脳活動について】47Nursing Science and Practice前腕浴が脳活動に与える影響48Nursing Science and Practice通院患者の在宅サービスによる生活継続支援研究分野在宅看護学 : 前腕浴 脳活動 精神科訪問看護研究内容私の研究のポイント研究分野在宅看護学:地域包括ケアシステム(*) ・外来看護・終末期(*)研究内容私の研究のポイント

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