富山県立大学 研究室ガイドブック2024 工学部
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(*)(*)Mechanical Systems EngineeringMechanical Systems Engineering多軸鍛造による大ひずみの導入と組織制御12部品利用による削減効果リポートリポート設計生産工学講座講師山田 周歩リサイクル部品の製造工程製造工程のプロセスモデル材料設計加工学講座教授 鈴木 真由美持続可能な製品を作り、それらをマネジメントし、適切に循環することが必要不可欠です。私達の研究室では、温室効果ガス排出量などの環境負荷の見える化や、環境・企業・人に優しい製品の設計を支援する手法や計算システムの開発を行なっています。気候変動への対策として、世界はカーボンニュートラルの実現を目指していますが、そのためには、自身が排出する温室効果ガスの排出量を知ることが必要です。そこで、企業内や企業間(サプライチェーン )の活動量を調査し、活動(例えば製品の製造や、商取引)プロセスのモデルを作ることで、各活動で発生する温室効果ガスやコストを見える化し、排出削減とコスト削減を同時に改善できるような活動とその方針を検討する支援を行っています。金属に塑性加工や熱処理、合金元素添加などを施すことで、力学的性質の向上を目指します。また、材料強度の観点から金属内部の微細組織制御の指導原理確立を目指した基礎研究を行っています。アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)などの密度が軽い金属材料(軽金属)は、更なる応用範囲の拡大に向け、室温だけではなく、様々な温度での強度や伸びなどの力学的性質の改善が求められています。金属材料の力学的性質は金属内部の微細組織によって大きく変化することから、本研究室では格子欠陥 や異種原子の分布、複合化などのミクロ組織因子を電子顕微鏡技術を用いてミクロ〜ナノレベルで解析・定量化することで、金属材料の強化メカニズムを明らかにします。また、これらの組織因子を制御・最適化し、高性能かつ安心・安全な構造材料を開発することを目指しています。(*)(*)直方体形状の素材に対して、x, y, zの3方向に対し、順番に圧縮ひずみを繰り返して付加する(多軸鍛造)ことで、材料内部に通常の圧縮加工よりも大きな変形を与えることが出来ます。マグネシウム(Mg)に室温でこの多軸鍛造を行うと、大小さまざまな変形双晶 によって加工をする毎に結晶粒 (*)が分断され、組織が微細化されます。この加工と熱処理を組み合わせることで、金属の内部組織を制御し、高い力学的特性を持つ材料を創製することを目指しています。Fig. マグネシウム合金の室温多軸鍛造後の微細組織  EBSDによる結晶方位マップ   (表面の結晶の方向の違いが色の違い(カラーマップ)で表現されています)自動車リサイクル部品の活用による温室効果ガス削減リサイクル部品を使用することで、修理コストを大幅に削減できるだけでなく、環境負荷も低減できると言われていますが、その効果の定量的な評価は十分に行われていません。本研究室では、自動車部品の材料調達から廃棄までの製品ライフサイクル において発生する温室効果ガスを算出し、自動車のリサイクル部品を利用することによる削減効果の定量的評価を行っています。長周期積層構造型Mg合金の塑性変形機構の解明と高強度化マグネシウム(Mg)基合金で見出された長周期積層構造というユニークな相は、硬い層と柔らかい層か交互に積層しており、塑性加工によって大幅に強度が向上します。ひずみを与えた時に導入されるキンク帯(結晶の折れ曲がり)が高強度化に寄与していると考えられていますが、その強化機構の詳細は明らかになっていません。本研究室ではキンク帯による強化機構の解明に加え、キンク帯の分散状態の制御や、変形モードとしてのキンク帯と強化因子としてのキンク帯を理解するための検討を行っています。Fig. 長周期積層構造材(一方向凝固材)の曲げ変形に伴う表面起伏変化 (キンク帯が発生箇所が材料表面に表面起伏となって観察されます)  左図: 試料表面の表面起伏 右図: 表面の結晶方位マップ1213ミクロ組織制御による金属基構造材料の高性能化研究分野ライフサイクル工学、設計工学、サプライチェーンマネジメント研究内容私の研究のポイント研究分野金属材料強度、金属組織制御、塑性加工付与研究内容私の研究のポイント製品製造やサプライチェーンで発生する環境負荷の見える化

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