富山県立大学 研究室ガイドブック2024 工学部
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Electrical and Electronic Engineering19リポートリポート電子デバイス工学講座准教授 藤井 正電子デバイス工学講座准教授 清水 直強誘電体・圧電体等の固体中で起こる物理的現象や効果の基礎研究、その相互作用を積極的に利用した新しい電子デバイスへの応用研究、それらを支える薄膜の作製プロセスの研究を行っています。1μm以下の微細な強誘電体ドットを作製し、センサやメモリなどの電子デバイスへ応用することを狙った研究をしています。機能を有する薄膜の作製後にフォトリソグラフィーによって微細加工する一般的な方法ではなく、薄膜の元になる前駆体膜を電子線照射により化学変化させ、化学溶媒に不溶化させることで微細ドットやパターンを作製する方法(電子線誘起反応プロセスといいます)を検討しています。環境に負荷を与えないSrBi₂Ta₂O₉やBiFeO₃といった非鉛系材料を研究対象に選んでいます。低炭素社会・循環型社会の実現に向け、エネルギーを始めとする様々な分野で技術革新が期待されています。ナノ材料や薄膜などの材料物性の研究から、将来の先端技術に繋がる新電子機能の開拓を行います。 材料のサイズをナノメートルまで小さくしてゆくと、バルク材料とは異なる興味深い性質を示すことがあります。微細加工(左図)を用いてナノ材料に特有の光・熱・電気的な性質を調べることで、新しい電子機能を開拓します。例えば、イオン液体と半導体の界面(右図)には電気二重層と呼ばれるナノスケールの電荷の層ができますが、ここに発生する強電界を利用し、ナノ材料に潜む優れた熱電特性や光機能性を見出してきました。本研究室で作製したSrBi₂Ta₂O₉強誘電体微細ドットの写真です。スピンコート法で成膜した前駆体膜に、電子顕微鏡付設の電子線描画装置で電子ビームを照射してドットパターンを描画しました。その後、パターン以外を除去する現像を行い、強誘電特性を得るために800℃で結晶化処理を行いました。前駆体膜の作製条件、描画条件や現像時の溶液や条件、結晶化熱処理条件等、さらなる最適化が必要です。(左図) フォトリソグラフィーでパターンを作製した半導体薄膜の光学顕微鏡写真。様々な微細加工を行った上で、ナノ材料の物性計測を行います。(右図) 直径1ナノメートルの半導体チューブの模式図。このようなナノ材料の物性評価を行い、バルクでは観測されない優れた機能性を開拓します。2324 Electrical and Electronic Engineeringイオンを用いたナノ材料の評価とデバイス化研究分野強誘電体・圧電体などの薄膜、セラミックス作製とその応用研究内容私の研究のポイント研究分野ナノ材料、薄膜、イオン、電界効果トランジスタ、電子材料物性研究内容私の研究のポイント強誘電体・圧電体薄膜の作製と応用

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