富山県立大学 研究室ガイドブック2024 工学部
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Actinomadura (nonthmicin)Streptomyces(antarlide) スイゼンジノリ(sacrolide A)タテヤママリモ(sulfoquinovosyl-glyceryl ether) 微生物二次代謝物からの新規生体機能性物質の探索当研究室で発見された新規生体機能性物質研究の流れ38リポート微生物工学講座教授 五十嵐 康弘微生物工学講座准教授 奥 直也微生物工学講座講師  春成 円十朗天然物は医薬や農薬の重要かつ豊富な探索資源である。それら生物の創り出す低分子有機化合物は、人工的に得られる合成化合物とは異質の構造多様性を有し、その多様性、創造性を人為的に模倣することは今日においても不可能である。天然有機化合物は、それ自体が医農薬として実用化されているのみならず、その構造をヒントとして新薬が開発された例も多数ある。微生物工学講座では、医療や農業、健康増進や美容の分野で利用可能な生体機能性分子を自然界から探索し、その構造的特徴や生合成、生体における機能を解明することにより、さまざまな分野での天然物利用を実現することを目的に研究を進めている。国内外の企業や研究機関と共同で世界各地から多様な生物資源を取得し、その化学成分を解明すると共に多様なスクリーニング方法で機能性を評価することにより、私たちの健康や生活に役立つ生体機能性分子の探索を続けている。本研究室の強みは、これまでに蓄積してきた分離精製や構造解析技術のノウハウを生かして、微生物、植物、動物などさまざまな生物を対象に探索研究を展開している点であり、特に最近では調査報告が乏しい未利用生物資源からの機能性物質の発見に力を入れている。また、ゲノム配列など生物情報を利用した生物資源の探索、遺伝子改変を伴わない簡便な代謝活性化法の開発、地域資源からの機能性物質の探索といった今日的課題にも積極的に取り組んでいる。抗生物質や抗癌剤など医薬開発のシーズとなる新規化合物の発見を目的として、海洋細菌、未研究糸状菌、希少放線菌、キノコ、ラン藻などの微生物から新規構造を有する生体機能性物質を探索している。多様な環境から土壌、植物、生物を採集し、微生物を分離活性物質の構造解析二次代謝の多様な細菌、放線菌や糸状菌を分離分離株 を培養活性物質の単離精製生理活性評価抗癌活性、抗菌活性52 Biotechnology微生物資源からの新規生体機能性物質の探索研究分野天然物化学、応用微生物学、生化学、分析化学研究内容私達の研究のポイント

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