富山県立大学 研究室ガイドブック2024 工学部
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55リポートリポート准教授 井戸 啓介教授 戸田 晃一実験心理学的な研究手法によって、人間の「ものを見て理解する」という視覚情報処理の特性を探るとともに、脳科学的な知見とも併せて、そのメカニズムの解明を試みています。かたち・動き・色の知覚における感度や錯覚的現象を手がかりとして、視覚情報処理の基礎的特性の研究に従事しています。現在の主なテーマは、動きの知覚における時空間的相互作用です。また、その知見の応用として、情報表示機器の視認性、色弱者への支援、視覚意識や注意といった問題についても関心を持っています。非線形可積分系は、豊富な数理構造をもち、その性質を厳密かつ詳細に調べることができる点で学問上重要な意味をもちます。私は、さまざまな非線形現象 の模型に対して、代数学 、 (*)幾何学 、 解析学 における非摂動的数理解析手法 を用いた研究をしています。(*)(*)(*)(*)高次元ソリトン方程式がもつ厳密解の導出・挙動解析の過程で発見視覚運動プライミング(VMP)現象 の効果と、マスキングによる運動方向弁別閾値が、類似した空間周波数特性を示すことを明らかにした実験結果。(*)(*)78Liberal Arts and Sciences人間の視覚情報処理特性の解明79Liberal Arts and Sciences非線形可積分系の変形問題とその応用 研究分野実験心理学・視覚認知科学研究内容私の研究のポイント研究分野 場の理論、数理物理学研究内容私の研究のポイント理論研究における基礎問題の“基礎”とは、解決または確立されていないことを意味します。例えば、「偏微分 方程式の可積分性」はまだ確立されている概念ではありません。基礎問題に関する研究の歴史において、しばしば「非線形可積分模型のようなオモチャの模型(トイモデル)」は重要な役割を果たしてきました。代数学などの非摂動的数理解析手法を駆使し、具体的な現象の解明を通して、数理科学や理論物理学などの幅広い分野で応用できる知見を得たいと考えています。私が見つけたV字型の孤立波解−ソリトン−

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