圧力下での実験Liberal Arts and SciencesLiberal Arts and Sciences 58リポートリポート准教授谷田 博司准教授三本 啓輔希土類元素や遷移金属 元素を含む金属間化合物や酸化物を中心に新物質を探索し、それらの基本的性質を解明すべく低温・高圧下での物性測定を行います。必要に応じて装置や測定プログラムの開発も行います。金属や絶縁体、磁性体、さらには超伝導体など、この世には数多の物質があります。それらの性質は一体なぜ発現するのでしょうか。何がそれらの性質を支配しているのでしょうか。1023個の原子が規則的に配列した「結晶」の世界は、途方も無い数の割に単純です。しかし元素の組合せやそれらのナノ配列構造により、実に多彩な性質が現れます。新物質を探索し、その性質を明らかにすることで、新しい世界を開拓していきます。結晶中の電子は電気伝導をもたらす電荷や磁性をもたらすスピン、四極子秩序などをもたらす軌道の自由度を持っています。それらが織りなす物性を理論的に求めることで、超伝導などの発現機構を解明しています。実験事実に基づいて物性の理論を構築することを目的としています。まず比熱、磁化率、電気抵抗、弾性定数など様々な実験の観測量から、電子が結晶中でどのようにふるまっているのかを想像します。そして大切な物理を抽出し簡単な模型を構築し、理論計算することで、その物性をうまく説明します。その物理を抽出することが大切であり、基礎研究を発展させ、応用研究へと繋がっていくことが期待できます。(*) 高い圧力を得るためには、どのようにすればよいでしょうか。左の写真は実験で実際に用いる圧力セルの一例です。これを用いると10-100㎜3程度の容積に最大で3-10万気圧 (*)の圧力を発生させることができます。(世の中にはさらに高い圧力を発生させることのできるものもあります。)高い圧力を加えると、絶縁体であったものが金属化し、さらには超伝導性を示すようになるものまであります。圧力は物の性質を操作しうるパラメータの1つです。左図:ピストンシリンダーセル(本体:NiCrAl+CuBe,ピストン:炭化タングステン)右図:ブリッヂマンアンビルセル(KTGセル)(本体:NiCrAl, アンビル:炭化タングステン)8485スピンと軌道が縮退した強相関電子系の解明研究分野新物質探索、低温実験、高圧実験研究内容私の研究のポイント研究分野強相関電子系・磁性・四極子・超伝導・半導体研究内容私の研究のポイント<縮退したスピンや軌道をもつ電子が織りなす物性>新物質探索と低温・高圧下での物性実験
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