日本列島のダイモンジソウは、生育環境に応じて葉などの形態等に変異があります。高山型と2つの渓流型はそれぞれ各地域で平行進化 していることがわかっています。Liberal Arts and Sciences南米コロンビアのモクレン属の1種。雄ずいの先端が糸状になり、雌ずい群にぶら下がる変わった特徴を持つ。アケビ(左上)は人里に、ミツバアケビ(右上)は山地に見られる。両者の雑種であるゴヨウアケビ(右下)がまれに見られる。ゴヨウアケビは中間的な形態形質をもち、また、花粉の稔性もあるため、親種と浸透性交雑 (*)をしている可能性がある。生育環境ごとに異なる光や水環境などへの適応が、多様な形態の進化をもたらしている。渓流型①矮小型渓流型②島嶼型標準型高山型環境省レッドリストにて絶滅危惧IA類にランクされているハナナズナ。野生では数固体しか確認できず、保全のための調査研究を行っている。林床高山帯河川62リポート東西両大陸に隔離分布するモクレン科の分布(灰色部分)。形態的にも系統的にも近縁な種が隔離分布している。写真上は日本産ホオノキ、下は北米産Magnolia tripetala.リポート准教授 鈴木 浩司助教孫田 佳奈ダイモンジソウの花持続可能な社会の構築には、自然環境との調和が重要であり、そこにある生物多様性を正しく理解する必要があります。野生植物を対象に、種の分布や分類学的研究のほか、花生態や生活史などの解明を進めています。生物多様性を明らかにするには、種を正しく認識(分類)することが重要です。日本産植物の分類は十分に解明されていると思われがちですが、まだまだ不明なことが多いです。外部形態だけでなく、DNA情報や化学的・生態学的な情報も用いて、より正確な種認識を行い、そこから、生物多様性(形態や機能の多様性)の形成・維持機構の解明を進めています。また、希少な種の保全や立山高山帯への外来植物の侵入状況の調査も行っています。地球上の様々な環境への適応は生物の進化に重要なプロセスであり、生物がもつ多種多様な形や性質の進化を促してきました。生物多様性の理解をするために、植物を対象として適応進化機構の解明を進めています。日本列島には幅広い気候帯が存在し、また狭い範囲に3000m級の山々があることで複雑な地形が形成されています。このような多様な環境によって、多くの植物が適応進化してきました。種がたどってきた進化プロセスを解明するために、DNAの多型情報を用いた解析を行っています。併せて、光環境と光合成に着目し、異なる光環境(明所と暗所)に生育する植物の生存戦略を明らかにすることを目指しています。(*)(*)(*)9293Liberal Arts and Sciences植物の適応進化機構の解明研究分野植物分類学、生物多様性、分子系統学、花生態 、生活史 、絶滅危惧種、保全研究内容私の研究のポイント研究分野生物多様性学、系統進化学、植物生理生態学研究内容私の研究のポイント植物の種多様性の解明とその保全
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