富山県立大学 研究室ガイドブック2024 工学部
69/102

Data ScienceData Science67システム数理学講座教授中村 正樹システム数理学講座教授 榊原 一紀自然、社会、生活などに現れる様々な現象を観測し、それらの背後にある規則性を数学の言葉で記述・分析することで、信頼性が高く、効率の良いシステムを構築する形式手法技術を研究しています。数学モデルの構築が私の研究の中心となります。道路交通や生産管理など社会の様々な場面でコンピュータシステムが活用されています。コンピュータ(ハードウェア)はプログラム(ソフトウェア)にしたがって動作します。プログラムは数学的な記述ですが、コンピュータを通して社会に影響を与えます。私の研究では、システムを数学で記述した数学モデルをコンピュータで分析し、未知の現象を解明したり予測したりすることで、安全で安心な社会の実現を目指します。生物や機械あるいは社会における「システム」を、 「目的をもつ要素の集合とその関係」として捉え、その構造や外部環境との関係を形式的・抽象的に捉えることにより、最適性や予測可能性、普遍性を見出します。柔軟性、頑強性、効率性を兼ね備えたシステムを、それに関わるヒトとの対話を陽に考慮しながら、数理最適化手法、統計的手法を援用した機械学習法さらにはエージェントシミュレーション技法をベースとして実現します。応用先として、鉄鋼やアルミの製造プロセス、金属加工スケジューリング、電力サービス、公共バス路線、ゴミ収集サービス、さらにはタンパク質の機能解明などがあります。(*)(*)(*)生産工程をオートマトンと呼ばれる状態遷移モデルで数学的に記述します。例えば、生産管理システムの設計では、ある工程の【待機中】【処理中】【終了】などの状態とそれらの間の状態遷移の事前事後条件を記述します。モデル検査と呼ばれる技術を活用し、システムが取りうるすべての状態をコンピュータで網羅探索できます。これによりデッドロックや最大電力量の超過などの望ましくない状態に陥らないことを設計段階で数学的に保証します。また、機器の故障のような不確実事象を確率モデルとして記述することで、一部の故障がシステム全体にどのように影響するかを統計的に調べられます。マルチエージェント・シミュレーション による橋梁トリアージ鉄道や道路などの都市空間を設定した上で、ヒトひとりひとりの移動をコンピュータ上でシミュレーションし、そこで現れる大域的秩序を観測する、という手続きを様々な都市空間の設定下で実行・比較することにより、全体最適な都市構造を見出します。この技法を用いて都市部における橋梁の重要度を評価することにより、住民利便性を定量的に担保した橋梁のトリアージを試みます。(*)リポートリポート出発地バス停①バス停②目的地(*)形式概念分析と機械学習による交通事故予測・分析富山県警との共同研究協定の下で、形式概念分析により過去の交通事故要因を分析しています。さらにその結果から、将来の交通事故内容を予測する機械学習モデルを作成しました。形式概念分析によるデータ分析により、複数の要因の組み合わせにより交通事故を説明する可能性が示唆されました。100%人対車両事故が発生した際に死亡・重傷事故になる予測確率0%2022-01-26 (水) 晴れの昼間の予測結果100101システム 最適化 に基づくかしこい問題解決研究分野形式手法、ソフトウェア工学、理論計算機科学研究内容私の研究のポイント研究分野システムモデリング、データ駆動、創発的計算研究内容私の研究のポイント形式手法にもとづくシステム のモデル化と検証

元のページ  ../index.html#69

このブックを見る