77リポート情報応用工学講座教授 田川 和義情報応用工学講座講師井上 康之本研究室はバーチャルリアリティ(VR)を専門的に扱う研究室です。VRとは、実物ではないが機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザの五感等を刺激することにより人工的に作り出すことをいいます。このために必要となる、実世界の情報を獲得するセンシング技術、実世界に対して高い整合性を保証したシミュレーション技術、リアルな五感情報の提示を可能とするディスプレイ技術、その他、ヒトの感覚情報処理に関しても研究を行っています。VRのための五感計測・提示デバイスの開発や、モデリング・シミュレーション技術、VRやテレイグジスタンス技術により別の身体(アバター)が与えられた時に人がどのように新たな身体性を獲得し適応するか、などの基礎研究だけでなく、例えば、遠隔で触覚を感じながらの低侵襲手術 訓練を可能とするシステムの開発などの応用研究も行っています。これらの研究を通して、実社会の様々な課題解決を目指していきます。バーチャルリアリティにおいては、人間がリアリティが高いと感じるのに必要十分な情報のみ(エッセンスのみ)を提示することがポイントになります。このためにはヒトの知覚・認知のメカニズムをよく知った上でのデバイス開発・モデリング・シミュレーションが重要になります。提示機構を簡略化・軽量化・高密度化するために、ヒトの錯覚を巧みに利用することもポイントです。これらの研究を通して、リアリティの高い情報提示が可能な次世代バーチャルリアリティを実現していきます。さらに、テレイグジスタンス(遠隔存在感技術)はバーチャルリアリティやロボティクスなどの融合領域ですが、アバター(遠隔操作ロボット)を使うことで人間の活動範囲や身体能力を向上させることができます。人が自らの身体や外界をどのように知覚し行動するのかという身体性を認知科学や人間情報学の手法を使い調べることで、様々な種類のアバターと一体化する人間拡張技術の開発につなげていきます。(*)(*)114 Information Systems Engineering次世代バーチャルリアリティ技術の開発とその応用研究分野バーチャルリアリティ、ヒューマンインタフェース、超臨場感 通信、VR医学、認知科学、人間拡張、身体性、テレイグジスタンス、アバター研究内容私達の研究のポイント
元のページ ../index.html#79