富山県立大学 研究室ガイドブック2024 看護学部
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3Nursing Science and Practice感染予防の技術教育に関する教育教材の開発4悪性腫瘍の動的可塑性を生み出す分子基盤の解明Nursing Science and Practice6リポートリポート基礎看護学講座准教授     三善 郁代基礎看護学講座准教授     杉森 道也新型コロナ感染の経験からも、標準予防策(*)の遵守の重要性が浮き彫りになりました。看護基礎教育の段階から、目に見えない微生物を意識した感染予防の技術が定着することを目指し、教育教材の開発に取り組んでいます。これまでの感染看護の教育経験から、学生や新人看護師などの初学者にとって、目に見えない微生物を意識した感染予防に関する技術教育がいかに重要であるかを実感しています。 そのため、蛍光塗料を用いて看護援助場面で生じる汚染を可視化することや、看護援助に伴う療養環境の汚染と看護行為の関係を明らかにしています。また、熟練看護師による看護援助中の視線解析を行い、具体的な感染予防行動やその意図を明らかにしています。グリオブラストーマ(*)は治療に抵抗する再発する悪性脳腫瘍です。再発起源となる細胞は動的に状態を変化させ、治療に抵抗します。この変化する能力(動的可塑性(*))を制限することで、再発を抑える治療法を開発します。私は、グリオブラストーマの再発起源となる細胞が治療抵抗性(*)を獲得し、後に失うことを示しました。これにより、“変化する抵抗性”を生み出す能力:動的可塑性を主張しました。今後、動的可塑性を司る分子経路を解明することで、新たな抗がん創薬に繋げます。さらに動的可塑性を制限することで、放射線・化学療法(*)の抵抗性を克服する長期コントロール療法を創造し、悪性腫瘍の治療戦略にイノベーションを引き起こします。熟練看護師による床上での一連の看護援助場面を参加観察およびVTR撮影をし、その手順や方法、汚染の広がりについて記録します。手指衛生と手袋交換の実施率を算出し、看護師の手指が触れた環境表面の種類を明らかにします。また、熟練看護師の援助中の視線解析を解析ソフトTobii Pro ラボアナライザー(トビーテクノロジー社製)を用いて行います。看護援助場面で生じる汚染を蛍光塗料を用いて可視化します。援助終了後、ブラックライトにて療養環境への蛍光塗料の付着部分の確認を行い、写真撮影をします。蛍光塗料の付着面積を算出し、汚染状況の分析を行います。私たちの実験系は、 再発起源となる細胞の薬剤抵抗性を切り分けることができます。遺伝学的背景による抵抗性は、薬剤の初回投与から抵抗するし、休薬期間を設ける隔世代投与によって再感受性を示しません。 一方、動的可塑性による抵抗性は、休薬期間を設けない2世代連続投与では抵抗性を示し、隔世代投与では再感受性を示します。このように動的な可塑性を用いて、腫瘍細胞はしたたかに生存します。看護援助場面の参加観察蛍光塗料を用いた汚染状況の確認研究分野基礎看護学:感染看護、感染予防、技術教育研究内容私の研究のポイント研究分野幹細胞(*)生物学;腫瘍生物学;神経発生学研究内容私の研究のポイント

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