Fig. Sn/M(M=Zn, Al)の繰り返し圧延接合材(6パス材)内部の積層構造 左図: Sn/Zn積層材,右図: Sn/Al積層材 結晶方位マップ (表面の結晶の方向の違いが色の違い(カラーマップ)で表現されています) 相マップ(Sn: 赤,Zn: 黄緑,Al: 青)Fig. 長周期積層構造材(一方向凝固材)の曲げ変形に伴う表面起伏変化 (キンク帯が発生箇所が材料表面に表面起伏となって観察されます) 左図: 試料表面の表面起伏 右図: 表面の結晶方位マップMechanical Systems EngineeringMechanical Systems Engineering12設計生産工学講座講師 山田 周歩自動車リサイクル部品製造の様子材料設計加工学講座教授 鈴木 真由美スキルツリーを用いた技術のマネジメントリポートリポート繰り返し重ね圧延接合法を用いたSn/M 積層材の創製表面処理をした同じ厚さの板材を 2 枚重ねて半分の厚さに圧延を行って 2 枚の板を接合し、元の厚さと同じ厚さの板材にする工程を繰り返すことで材料内部に大きな変形を与えることが出来ます。この際、2 枚の板を異なる金属にすることで、異種金属の積層構造を作ることができます。スズ (Sn) は融点が低いため、室温で再結晶し結晶粒(*)が粗大となってしまいますが、異種金属との積層構造を形成することで、結晶粒の粗大化を抑え、微細な構造を保つことができます。また、Sn よりも強い金属と複合化することで力学特性の向上も期待できます。長周期積層構造型Mg合金の塑性変形機構の解明と高強度化マグネシウム (Mg) 基合金で見出された長周期積層構造というユニークな相は、硬い層と柔らかい層か交互に積層しており、塑性加工によって大幅に強度が向上します。ひずみを与えた時に導入されるキンク帯(結晶の折れ曲がり)が高強度化に寄与していると考えられていますが、その強化機構の詳細は明らかになっていません。本研究室ではキンク帯による強化機構の解明に加え、キンク帯の分散状態の制御や、変形モードとしてのキンク帯と強化因子としてのキンク帯を理解するための検討を行っています。リサイクル部品を使用することで、修理コストを大幅に削減できるだけでなく、環境 負荷も低 減できると言われていますが、その効果の定量的な評価は十分に行われていません。本研究室では、自動車部品の材料調達から廃棄までの製品ライフサイクル(*)において発生する温室効果ガスを算出し、自動車のリサイクル部品を利用することによる削減効果の定量的評価を行っています。ゲーミフィケ―ション(*)に基づく技術・技能のマネジメントシステム開発製造業ではベテランエンジニアの引退、技術を引き継ぐ若手エンジニア不足により企業の技術力を維持していくことが深刻な課題となっています。本研究室では、エンジニア各個人、企業のエンジニア全体の技術力を可視化し、各エンジニアが次に習得するべき技術や、企業として不足している技術、今後不足することが予測される技術や、習得させるべきエンジニアを推薦するシステムの開発を行っています。持続可能な社会システムを実現し、維持していくことが現在必要不可欠となっています。私達の研究室では、環境問題や人々の安全、使いやすさ、企業活動の維持に関わる事項に対して設計(デザイン)やマネジメントの観点から解決し、理想の社会を実現するための方法や支援システムの開発を行っています。気候変動への対策として、世界はカーボンニュートラルの実現を目指していますが、そのためには、自身が排出する温室効果ガスの排出量を知ることが必要です。そこで、生産における資源の使用量などの活動量を調査し、各活動で発生する温室効果ガスやコストを見える化し、排出削減とコスト削減を同時に改善できるような活動とその方針を検討する支援を行っています。また、企業の技術力を維持していくことを支援するために、エンジニアが持つ能力や才能(タレント)を見える化し、ゲームの様に、スキルツリーを用いた能力・才能のマネジメントを支援するシステムの開発を行っています。金属に塑性加工や熱処理、合金元素添加などを施すことで、力学的性質の向上を目指します。また、材料強度の観点から金属内部の微細組織制御の指導原理確立を目指した基礎研究を行っています。アルミニウム (Al)、マグネシウム (Mg) などの密度が軽い金属材料(軽金属)は、更なる応用範囲の拡大に向け、室温だけではなく、様々な温度での強度や伸びなどの力学的性質の改善が求められています。また、金属材料の力学的性質は金属内部の微細組織によって大きく変化することから、本研究室では格子欠陥(*)や異種原子の分布、複合化などのミクロ組織因子を電子顕微鏡技術を用いてミクロ〜ナノレベルで解析・定量化することで、金属材料の強化メカニズムを明らかにします。また、これらの組織因子を制御・最適化し、高性能かつ安心・安全な構造材料を開発することを目指しています。研究分野ライフサイクル工学、タレントマネジメント、サプライチェーン(*)マネジメント、設計支援技術研究内容私の研究のポイント研究分野金属材料強度、金属組織制御、塑性加工付与研究内容私の研究のポイント1213自動車リサイクル部品の活用による温室効果ガス削減製品や社会システムのマネジメントを支援する技術の開発ミクロ組織制御による金属基構造材料の高性能化
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