教養教育センター (*)(*)(*)81 Liberal Arts and Sciences82Liberal Arts and Sciencesニュートリノの反物質が消えた時期が、電弱相転移 よりも前か後かによって物質生成の時間発展がどのように異なるかを示した理論シミュレーションのグラフ。(左)電弱相転移よりも後に消えた場合(中)電弱相転移時期とちょうど同じ時期に消えた場合(右)電弱相転移よりも前に消えた場合T. Asaka, S. Eijima, H. Ishida, K. Minogawa, T. Yoshii, Physical Review D 96 8 083010-1~083010-16 CrSb(クロム・アンチモ ン ) と い う 磁 性 金 属 は400℃以上の高温領域で電気抵抗が半導体の様な振舞をすることが約70年前 に 報 告 さ れ て い ま すが、これまでその原因はわかっていません。私は「70年目の真実」を突き止めるべくこの物質の研究に取り組み始め、まずは大型の単結晶(右の写真)の育成に成功しました。 現在、1000℃までの高温の電気抵抗とホール効果の測定の準備を進めています。特にこの温度領域のホール効果測定ができるところは私が知る限り国内外になく、チャレンジングな実験に学生と楽しく取り組んでいます。57准教授 石田 裕之教授 福原 忠リポート(*) リポート(*)(*)インフレーション 直後の宇宙は物質と反物質が同数でした。しかし、ある時期で物質優勢とならなければ我々は存在できません。この物質と反物質の不均衡がニュートリノとどのように関係がついているかを研究しています。物質と反物質の不均衡は、素粒子標準理論 を超えた理論の存在を示唆しており、特にニュートリノが密接に関連していることが期待されています。ニュートリノに関する研究は富山にも近い神岡で行われている実験が世界をリードしているように、日本の基礎研究の第一線と言っても過言ではありません。私はこのニュートリノが我々の宇宙を構築するためにどのような活躍をしたかを理論的に明らかにすること、さらにその活躍の証拠を如何に実験的に検証をするかに焦点を当てて日々研究をしています。磁性金属で発現する未知の電子輸送現象の発見を目指し、興味ある物質の電気抵抗、ホール効果、磁気抵抗効果を、絶対零度に近い極低温から、数百℃までの広い温度範囲で測定します。磁性金属の電子輸送現象(電気抵抗、ホール効果、磁気抵抗効果)には、従来の理論で説明できないような異常な振る舞いがしばしば発見されます。有名なものでは、1960 年代に発見された電気抵抗の極小現象があります。極低温での電気抵抗の奇妙な振る舞いを見出した実験は近藤効果の研究という物性研究の大きな流れを生み出しました。私は、そのような従来の理論では説明できないような電子輸送現象を示す物質を探索し、新たな物性研究を導くようなデータを出す事を目指しています。CrSb の単結晶研究分野素粒子現象論研究内容私の研究のポイント研究分野磁性金属、電気抵抗、ホール効果、磁気抵抗効果研究内容私の研究のポイント消えた反物質 の謎とニュートリノ の関係磁性金属の電子輸送現象
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