富山県立大学 研究室ガイドブック2025 看護学部
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Nursing Science and Practice研究分野成人看護学:集中治療、人工呼吸管理と看護研究内容私の研究のポイント研究分野成人看護学 周手術期看護 急性期看護 せん妄ケア研究内容私の研究のポイント1314Nursing Science and Practice11リポートリポート成人看護学(急性期)講座講師     大西 陽子成人看護学(急性期)講座講師     寺内 英真図 集中治療後症候群(Post Intensive Care Syndrome:PICS)PICSは、集中治療室(intensive care unit:ICU)に入室中あるいは ICU 退室後に生じる身体障害、認知機能、精神障害であり、患者の家族にも発症することが報告されています。これまでの研究ではICUにおける看護ケアの場面を観察したり看護師へのインタビューを通して、PICSを予防し回復を促進する看護は「積極的な身体的苦痛の緩和」や「患者の理解状況の評価」、「患者個々の特徴的な反応を捉える」「看護ケア参画の促し」など、複数の要素から構成されていることを明らかにしました。せん妄予防ケアと発症時ケア内容看護師経験年数で有意差のあった介入項目をまとめた図。患者状態に対する薬剤使用や多職種/チームでの協働など、経験や知識に基づく判断が必要な項目の実施に有意な差がみられている。集中治療を受ける重症患者は痛みや不安、死への恐怖など様々な苦痛を抱えています。看護師が患者の苦痛をいかにして緩和し、回復を目指して支援しているのかを解明する研究に取り組んでいます。ICUに入室する患者は身体・認知・精神障害である集中治療後症候群(PICS)の発症により社会復帰困難となったり、退院後の生活の質が低下したりすることが報告されています。PICSを発症しやすい人工呼吸器装着患者がICU入室中にどのような体験をしているのか、そして患者に対し看護師はどのような看護ケアを実践しているのかについて研究を行っています。これらをもとに患者・看護師を対象とした教育プログラムの開発を目指しています。手術や入院による環境変化により、患者の意識が曇った状態(せん妄)になることがあります。せん妄による弊害を最小限にするため、予防や発症期間の短縮化に効果的な看護ケアの方法について研究をしています。せん妄の発症要因には、高齢、急な環境変化、複数の薬剤、痛み、行動制限、視聴覚障害、手術侵襲などがあり、これら要因を減らし、排泄や水分補給など基本的欲求を充足していくことが予防や発症期間の短縮に効果があることがわかっています。現在、看護師が普段実践している看護ケアと効果のあるせん妄ケアの実施状況との一致率を調査しています。普段のケアに追加できるケアを組み込むことでせん妄発症への効果を検証したいと考えています。重症患者の回復を促進する看護の探究術後せん妄(*)に対する効果的な看護ケアの検討

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