富山県立大学 研究室ガイドブック2025 看護学部
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57 6Nursing Science and PracticeNursing Science and Practice研究分野基礎看護学:認知症高齢者、尊厳、実践知(*) 研究内容私の研究のポイント研究分野基礎看護学:看護教育、臨床判断、視線計測、VR/MR(*)研究内容私の研究のポイント模擬病室内における看護師の視線の動きVR/MR技術を活用した看護教育教材の開発リポートリポート呼吸状態を考えて観察した視線軌跡VR学習システムを活用した滅菌手袋の装着技術トレーニング基礎看護学講座1助教     堀田 美沙基礎看護学講座2教授     林 静子転倒リスクを考えて観察した視線軌跡MR(複合現実)技術を活用した滅菌手袋の装着技術トレーニング図1 認知症とともに今を生きている高齢者の主観的体験図1は在宅で生活する認知症高齢者の「希望や喜びなどの快感情を伴う主観的体験」に焦点を当てたストーリーラインです。認知症とともに今を生きている高齢者の体験は、現在と過去を行きつ戻りつしながら、物忘れや老いの自覚をしつつ、家族や人とつながっている幸せが中心にありました。そして、健康な頃から持ち続けている信念や誇りは残っており、前向き思考の源になっているものと推察されました。認知症高齢者の尊厳を守るケアの確立を目指しています。当事者・家族介護者・看護師へのインタビューにより、当事者の主観的体験や、ケアにおける観察の視点と判断の構造を明らかにすることに取り組んでいます。認知症は認知機能の低下に伴い日常生活に支障が生じる病ですが、病状が進行しても最期まで快感情・不快感情は残っています。尊厳が守られた生活を支援するためには、認知症高齢者の行動の意味を理解することが重要です。ひとり歩き(徘徊)といわれる行動も、「故郷に帰る、孫を迎えに行く」など意味がありました。こうした認知症高齢者の体験世界そのものや、家族介護者・看護師の実践知に着目し構造化することを目指しています。看護学生や新人看護師の観察力・臨床判断能力を高めるために、熟練看護師の視線や行動を視線計測装置やカメラを用いて可視化し、VR/MR技術を活用した新たな看護教育教材の開発に取り組んでいます。熟練看護師の知識と経験を積み重ねた観察力・臨床判断能力を客観的に示すために、看護師の視線計測と思考過程のインタビューを組み合わせた調査を行っています。観察力・臨床判断能力が客観的になることによって、VR/MR技術を活用して熟練看護師の経験をよりリアルに作り出し体験することが可能となります。経験が少ない看護学生や新人看護師が少しでも熟練看護師のような観察や臨床判断ができる看護教育教材の開発を目指します。認知症高齢者の体験に基づく尊厳(*)あるケアの探究臨床判断(*)能力向上を目指した看護教育教材の開発

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