Saidai Concierge vol.25
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「再生医学」研究の最前線——米国へ 普通ではできない経験をしたかったことと、最先端の「再生医学」を学びたかったことが、留学した主な理由です。 なぜ「再生医学」なのか?確かに僕の専門の「基礎化学」とは、直接関係する分野ではありません。しかし、現在取り組んでいる研究は「基礎化学」の知見を用いて「生物学」の命題を解明するもの。ですので「生物学」の応用技術で、世界中で注目を集める「再生医学」に興味を持った訳です。 留学先は米国オハイオ州にあるシンシナティ小児病院医療センターを選びました。僕が在籍する中林・吉川研究室では、かねてから横浜市立大学の武部貴則准教授(臓器再生医学)と共同研究を行っていますが、武部先生は、「再生医学」研究で、全米——つまり世界トップを走るこちらの病院にも研究室をお持ちだからです。 しかし、いざ留学を考えると、金銭的な問題が目の前に立ちはだかりました。そこで返済不要の奨学金である「トビタテ留学! JAPAN日本代表プログラム」に応募したのです。留学で得たもので更なるチャレンジ この制度の金銭面の支援以外の魅力は、留学生同士のつながりが持てること。実際、僕も現地では何人かの留学生と連絡を取り合っていました。皆、高い志を持って留学しているので、刺激を受けることも多かったですね。また、初の海外で生活のことなどに不安がありましたが、仲間の存在が心の支えになったのは言うまでもありません。 約5カ月半の留学の一番の収穫は、やはり、日本では見ることができない最先端の技術や研究に触れられたことです。武部先生の研究室以外にも幅広い領域の研究を見たことで「再生医学」には「生物学」だけでは実現できないこともあると実感しました。 そして、そこに「基礎化学」を融合することで、新たな可能性が生まれると考えています。今後は、そのような未知の領域を開拓していきたいですね。 周りと同じことをしているだけでは、数多くいる中の1人になってしまいます。それではこれからの時代、企業や社会に選ばれる人材にはなれません。留学は飽くまでも何かを達成するための手段ですが、海外に行けば得られるものが必ずあります。もし留学を迷っているのなら、とにかく“他人がしない挑戦”をするつもりで、行動に移してみてはいかがでしょうか?「産業界を中心に社会で求められる人材」「世界で、又は世界を視野に入れて活躍できる人材」の育成を目的として、学生自ら定めた留学計画に対し、金銭的な支援などを行う「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」。文部科学省と支援企業が実施するこの取り組みを活用して、新たな一歩を踏み出した大学院生の東郷祥大さんにお話を聞きました。留学先で最先端の研究に接して分かったこと大学院理工学研究科化学系専攻基礎化学コース博士前期課程2年東郷 祥大さん出身高校:岡山県立新見高等学校グローバルに活躍する人材へ研究室にて。中央が武部准教授、左から3人目が東郷さん。iPS細胞で肝臓を作り、病気のモデルを再現する研究に従事11SAIDAI CONCIERGE

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