Saidai Concierge vol.25
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埼玉大学フェロー称号授与記念講演会Memorial Lecture Report謎解きという快楽に魅せられて—私の学問人生—埼玉大学教養学部の文化人類学との出会いが謎解きの出発点 謎解きの出発点はどこにあったのかと振り返ってみると、埼玉大学の教養学部で勉強していたときに思い当たります。 ある夏休み、自主参加の共同調査へ行くことになりました。将来、海外へ異文化調査に行く訓練として、国内の地域をみんなで調査するというものです。このときは、埼玉県秩父郡旧両神村で調査をしました。ここで、最初の謎に出会うことになります。 2年ほど現地に通い、最初の夏に、「憑つきもの」に出会いました。キツネ憑きの話です。キツネに取り憑かれ頭がおかしくなる話と共に、取り憑かれている家は人に災いをもたらすとされ、嫌われたり、婚姻が避けられたという話を聞きました。婚姻差別、経済的格差などいろいろなものが関係していると、大変興味を持ちました。 その翌年、一生懸命勉強して、同じ家に行き、もっと詳しい話を聞きたいとお願いすると、「知らん、そんな話はした覚えがない。」と言われ、びっくりさせられました。キツネにつままれたとは、まさにこういうことだと(笑)。あのとき、私たちに喋りすぎてしまったという思いがあったのかもしれません。何らかの差別問題が絡んでいたり、ある特定の家の悪口になったりしていましたから。そのときはとにかく驚かされまして、人間の社会が持っている「人生振り返ってみれば、『謎』を解いてきただけ」と語りはじめた小松先生。その出発点は埼玉大学教養学部での学びだったといいます。ここでは、埼玉大学フェロー称号授与を記念して行われた講演のうち、小松先生が経験した謎との出会いや転機について語った部分、そして学生へのメッセージを紹介します。来場者で一杯となった記念講演会場の様子2SAIDAI CONCIERGE

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