医学部長×学生対談医学部Saito Tsuyoshi現状に潜む問題点を課題として提起し、科学的根拠および適確な方法に基づく論理的思考を通して自ら解決できる。013SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY LEAP 2026◆ディプロマ・ポリシー3基本的医学知識と基本的技術、コミュニケーション能力に関する内容(知識・技能)ができる自信がないのですが。学部長:近年、大学を卒業しても初期臨床研修・専門医研修で忙しく、なかなか基礎研究に触れる時間が取れないため、若い医師が研究に携わる機会が減ってしまう傾向にあります。そこで、比較的時間に余裕がある学生時代に、基礎研究の面白さ・大変さを経験してもらうために、MD-PhDコースが設置されました。一度経験してみて「やはり臨床」となるかもしれませんが、面白さに気づけるかもしれません。まずは経験してみるということを大切にしていただきたいと考えています。島津:医師に求められる高い倫理観とプロフェッショナリズムを修めるために、私たち医学生には何ができるのでしょうか。学部長:倫理観を身につけるのは難しいこと◆ディプロマ・ポリシー4問題解決・課題探求能力に関する内容(思考・判断) ですが、「地域包括型診療参加臨床実習」などの際に、地域の医療従事者の方と接したり患者さんと交流したりする中で、将来医師になる自覚を少しずつ育んでいくことが大切だと考えています。また、学生生活を送る中で、自身の行動や判断を定期的に振り返り、継続的に自己研鑽に努めるトレーニングを積むことも大切です。島津:実際に病院見学に行ってみると、講義で学んだことがどのように臨床とつながっているのかよく分かるのですが、講義だけでは、臨床とのつながりが見えにくい部分があります。日々の学びをより臨床で活かすためには、どのような姿勢で講義に臨むことが大切でしょうか。学部長:今学んでいることが、何の役に立つの医学部長ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)は、どのような力を身につけた者に卒業を認定し、学位を授与するのかを定める基本的な方針です。本学医学部がディプロマ・ポリシーに掲げる能力や資質について3年生が医学部長へインタビューをしました。かを常に考えながら取り組むことが大切だと思っています。私が医学生だった時代は、臨床実習が始まるまではすべて座学で、国家試験合格のために必要な知識を詰め込むという教育でした。そのため、学生時代に学んだことが何の役に立つのか、医師になってから知るということも少なくありませんでした。 しかし今は、低学年のうちから講義と並行して実践的な授業を取り入れ、講義と臨床のつながりが見えやすくなるよう、大学として努力しています。鬼原:私が受験生のときにLEAPを読んだ際、疑問に思ったのですが、ディプロマ・ポリシーの中にある「幅広い視野をもつ」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。学部長:非常に抽象的で難しい問題ですが、医師にとっては「人の立場に立って物事を考えること」こそ「幅広い視野をもつ」ことだと考えています。将来、医療チームのリーダーとして他職種の医療従事者をまとめる必要があるかもしれません。また、患者さんは、これまでの人生で出会ったことがないような人かもしれません。そんなとき、いかに相手の立場に立って考えることができるかが重要だと考えています。その人たちの気持ちがわからなければよい医療が出来ないのは当然ですよね。決まった集団の中で生活することが多くなりがちな学生生活ですが、意識的に部活動やボランティア、旅、趣味を通じてさまざまな人と付き合うようにした方がよいと思います。基本的な医学知識と技術を習得し、協調性と指導力をもって診療や保健指導、医学研究を実践できる。齋藤 豪知るために
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