札幌医科大学 大学案内 LEAP 2026
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SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY LEAP 2026052看護学科講師田口 裕紀子Taguchi Yukiko長谷川 真澄谷口 圭吾看護学科教授Hasegawa Masumi理学療法学科教授Taniguchi Keigo理学療法学科准教授井平 光Ihira Hikaru実践力と問題解決能力を育み、多様な分野で活躍するための基礎を学ぶデータサイエンスの知見から科学的根拠に基づく高齢者の健康増進を社会のニーズに応える人材育成人々の健康と生活を支える看護の基本的能力を養う重症患者と遠方の家族をつなぐ─ICT活用型オンライン面会システムの開発を目指して 少子高齢化を見据え地域包括ケアシステムへの転換が進む社会における看護職は、病院での看護だけでなく、地域で生活する人々の健康とその人らしい生活を支える役割が求められます。社会のニーズに応えるには、疾患や治療ケアに関する知識・技術だけでなく、対象者と信頼関係を築くコミュニケーション能力、その人の価値観や人権を尊重する倫理観、他の専門職や機関との連携力が必要です。 看護学科では、1年次から専門科目を開講し、早い段階から看護の実践現場を体験しつつ基礎から応用へと段階的に学ぶカリキュラムで看護に必要な基本的能力の修得をめざします。また学生が自己の目標とその時々の課題を明確にし、主体的に学習に取り組めるよう、少人数制と臨床との緊密な連携を活かしたきめ細やかな指導を行っています。4年次の卒業研究では、学生個々の関心に基づき研究テーマを設定して課題探求に取り組みます。このように目標をもち自己を振り返る習慣や、自ら課題を設定して探求する経験は、看護専門職として生涯にわたり自己研鑽する能力に通じます。 実習先は大学附属病院だけでなく、地域の病院、介護保険施設、保健センター、保育園など、看護の対象者とその生活を幅広く学べるようにしています。また、先輩との交流機会も設けており、将来のキャリアをイメージしながら学ぶことができます。 私は附属病院高度救命救急センターの看護師を兼任し、臨床の看護師とともに研究に取り組んでいます。 重症患者の治療過程において、家族との面会は患者さんの回復促進と家族のニーズ充足に重要な役割を果たします。しかし、COVID-19の影響で対面面会が制限され、看取りの場面ですら患者さんに会えないご家族や、家族に十分なケアを提供できないことによる看護師の不全感が深刻な問題となりました。この課題に対応するため、私たちは早期に医療者のサポートのもとで重症患者と家族がオンライン面会を実施できる体制を整備しました。その結果、自力で家族と連絡を取ることが難しい重症患者とその家族が、互いの声や表情を届け合うことが可能になりました。 重症患者の多くは都市部の医療機関に集中しており、特に北海道のような広域地域では、遠方に住む家族が頻繁に面会することは困難です。コロナ禍を経てオンライン面会の活用は広まりましたが、重症患者に特化したオンライン面会システムは未だ十分に普及しておらず、家族の利便性を考慮した活用には至っていません。 そこで私たちは、「重症患者」と「遠方にいる家族」に特化したオンライン面会システムの開発を目指し、その有用性を検証したいと考えています。この取り組みにより、地域間の医療格差の解消と家族参加型医療の推進に貢献し、最終的にはこのシステムを標準的な医療支援の一環として確立し、より多くの患者さんとご家族を支えることを目指しています。 私の専門は理学療法における生体機能評価学です。「理学療法は評価に始まり評価に終わる」と言われており、対象者のもつ障害の実像を解き明かす評価のプロセスは効果的な治療を実践するうえで重要な位置を占めています。本学科では理学療法の主要領域をなす高齢者・地域、小児・発達障害、運動器障害、神経障害および内部障害分野すべての評価と治療を講義・演習のみならず臨床実習を通じてシームレスに学べることが特徴となっています。 また、学生自身の興味ある研究テーマに基づき、能動的に学修を進める過程で論理的な思考能力を培う科目が設けられています。専門的な知識や技術を身 超高齢社会のなかで、効率的に高齢者の健康増進を支える対策が必要です。理学療法学は、高齢期のフレイルやサルコペニアといった、身体の衰えを予防し、日常生活を支える機能をサポートするために有効な学問です。そのため、医療施設でリハビリテーションを必要としている方だけではなく、多くの地域住民、特に地域在住高齢者が、健康増進のために理学療法士を必要としています。 我々は、健康寿命延伸に向けた重要な課題を見つけ出し、データサイエンスの知識と技術を用いて様々なヘルスデータを分析し、エビデンスを教授に聞く 本学部の今、こんなことしています

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