滋賀大学 教育学部
22/36

学校教育教員養成課程ガイダンス22根を育てる仕事幼児教育専攻初等教育コース子どもの庭幼稚園(kindergarten)という言葉は、ドイツ語で「子ども」を意味するkinderと、「庭」を意味するgartenが合わさってできた言葉です。幼稚園という場所は、ひとりひとり違った可能性を持って生まれてくる子どもたち(種)が、それぞれの芽を出し、花を咲かせていくための、土台をつくる庭として誕生したのです。 みなさんは植物の種が発芽する様子を見たことがあるでしょうか。種からまず出てくるのは芽ではなく、根です。まずしっかりと土のなかに自らの身体を支え、生きていくための水や栄養を吸収する土台を作ってから、植物は地上に芽を出します。子どもたちのその後の人生を支える根っこを育てること。これが幼稚園や保育園の先生の仕事です。ひとりひとりの子どもの理解そして実際に、幼稚園や保育園の先生の仕事は、植物を育てることに似ています。土が乾いていれば水をやり、土がやせていれば肥料を与えなければ、種は元気な根っこや芽を伸ばすことができません。しかし、その一方で、水をやりすぎれば根は腐ってしまいますし、早く伸ばしたいからといって肥料を与えすぎれば枯れてしまうこともあるでしょう。 「教育」というと、何かコンピューターにプログラムをインストールしていくように、教えれば教えるほど、いろいろな能力が高まっていくようなイメージがあるかもしれません。ですが、人間はコンピューターとは違うのです。早く子どもに様々な能力を身につけてほしいからといって、あれやこれやとインプットしようとすれば、子どもによってはその重みに耐えきれず、折れてしまうことだってあります。幼児期の教育は、ひとりひとりの子どもを理解した上で、丁寧に行わなければなりません。幼児教育のやりがいこんなことを書いてあると、幼児教育がとても難しいものに思えてくるでしょうか。たしかに、ひとりひとり異なる子どもを理解し、その育ちに寄り添っていくのはとても難しいことです。幼稚園や保育園の先生は、子どもたちひとりひとりを理解するために、心を開いて子どもの言葉を聴き、思いきり身体を動かして共に遊び、頭をたくさん使ってその子の成長のことを考えなければなりません。でも、そこに幼児教育の魅力と奥深さがあるのです。幼児教育専攻では、心理学や教育学を中心に、幼児期の発達や生活、遊びなどについて多角的に学習します。ひとりひとりの子どもの育ちを支える教師になるために、学ぶべきことはたくさんあります。私たちは、心も体も頭も使って、意欲的に子どものことを学びたい人を待っています。

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る