滋賀大学 教育学部
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学校教育教員養成課程ガイダンス26芸術から見えてくる 「教育」図画工作専修/美術専攻初等教育コース初等教科専攻/中等教育コース人間の社会には実にさまざまな「芸術」が存在します。そもそもなぜ「芸術」が存在するのでしょうか。伝統的に営まれている「芸術」もあれば、常に新しさを追求する現代的な「芸術」もあります。「伝統的」と「現代的」とはどのような関係にあるのでしょうか。 その中にあって、子どもの「芸術」の意義や位置づけをどのように考えればよいのでしょうか。そして「教育」にとって「芸術」はなぜ必要なのでしょうか。単に生命活動の維持や社会を機械的に運営するためだけであれば、ほとんど必要とは思われない過剰な表現の存在は、私たち人間に一体どのような意味を与えているのでしょうか。そして「表現」とは、だれもが社会や他者と関係を持つときに直面する問題です。 しかし考えてみれば、人間は赤ちゃんのときからさまざまな「表現」に取り囲まれて自己を形成してきたという意味で、「表現」によって生かされている存在とも言えます。 図画工作・美術教育のカリキュラムは、このような「芸術」と「表現」をめぐる本質的な問題に応えるために設定されています。私たちが「生きていること」と「表現すること」との根源的な関係を改めて見つめ直すことから出発しているのです。 今「教育」と「芸術」の関係を考えてみることこそ、新しい時代の最も重要な課題ではないでしょうか。答の不確かな今日の社会では、「教育」の問題は「芸術」と重なり合っているかもしれないのです。「心と体を一体としてとらえる」これは学習指導要領に記述されている体育の「目標」の冒頭句ですが、何を意味しているのでしょうか? 「恥ずかしいとき顔が赤くなる」「失意におちいると胸が痛む」など、心の状態が体の反応となって表れることは日常生活の中でよく体験することです。反対に、「お腹がすくとイライラする」「疲れている時は何もやる気になれない」など、体の状態が心に反映することもよくあります。このように心と体は密接に関連し合っています。しかし一方で、現在の子どもたちは、「楽しい体験をしても嬉しそうな顔をしない」「疲れていないのにやる気を出さない」など、心と体がアンバランスな状態であることが指摘されています。 体育専修/保健体育専攻では、児童生徒のすこやかな心と体をはぐくむことをねらいとして、スポーツの特性に着目し、スポーツが心に、心が体に、体が心に影響を及ぼすことを、体育領域と健康領域の科学性をふまえて、相互の関連性を図りながら学んでいきます。また、スポーツ文化を学習し、次世代につないでいけるスポーツ享受能力と、健康・安全に留意し、生涯にわたって自己のからだを管理できる健康実践能力を身につけていきます。心が体に、体が心に体育専修/保健体育専攻初等教育コース初等教科専攻/中等教育コース

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