滋賀大学 教育学部
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教師と「職業によって、ひとはつくられる」この言葉が真っ先に当てはまるのは教師という仕事であろう。はじめから教師などいない。教師になっていくのである。6教師と経験 幼稚園から小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で、さまざま教師が働いていますが、これらの仕事に必要な資質は大学だけで作られるものではありません。大学で学んだこと以上に現場での「経験」が必要な職業なのです。生活習慣のしつけから始まり全教科を担当する小学校教師と、専門の教科を教え進路指導や部活動指導を行う中学教師では、教師としてのスタイルも当然変わってきます。ある程度の適性はあるにしても、現場での経験と訓練を積むことによって、その学校にふさわしい教師となっていくのです。いま自信ありげに教壇に立っている教師も、はじめは子どもたちとの対応に迷い、授業もうまくいかず反省の毎日を送っていたのです。保護者への接し方にとまどい、ルールさえ知らない部活動で顧問として悪戦苦闘していたかもしれません。「教師失格」の4文字が脳裡に浮かんでは、自信も気力もなえ、無力感にさいなまれた日々があったことでしょう。しかし、そういう苦い経験を積み重ねながらも、やがて児童や生徒が見えはじめ、コツが分かり、信頼されてくることを肌で感じるようになります。失敗も時々ありますが、児童や生徒の笑顔に救われながら、日々の授業を積み重ねているのです。クラスが一丸となって取り組んだ学校行事に感動し、成長した子どもの姿を見て卒業式で涙する。「教師でよかった。担任をしていてよかった。また、がんばろう」と思えるようになってきます。「自分は教師に向いているのだろうか?」–だれもが抱く疑問でしょう。しかしどの教師も、迷いと悩みをかかえながら、「経験」を積み重ね本物の教師に成長していくのです。

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