島根大学 生物資源科学部 2023 学部案内
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22生命科学科農林生産学科環境共生科学科を太陽に向けて光を一日中浴びても日焼けしません。面白いことに,強い光のもとでは光合成がパンクして活性酸素(反応性の高い酸素分子種)が生じ,細胞を傷つけてしまいます。つまり,私たち人間よりも植物の方が光に敏感なはずですが,それでも日焼けしません。その理由は,植物が高濃度に蓄積するビタミンCにあります。ビタミンCは抗酸化剤として活性酸素による障害を防いでくれるのです。私たちの研究によって,植物が独自にもつビタミンCの合成と利用に関する美しいシステムの仕組みがわかってきました。ビタミンCと活性酸素をキーワードに,植物の生死の仕組みを分子レベルで解明し,環境耐性・高栄養作物の育種に活かすのが私の研究の目的です。植物は地球上で最大のバイオマスを誇り,あらゆる生命の活動と環境を支えています。植物の研究は持続可能な開発目標(SDGs)の達成にもっとも大きなポテンシャルをもっています!植物代謝生理学農政学農政史河川工学島根大学 生物資源科学部 2023なぜ植物は日焼けしないのか?ビタミンCのチカラ私たちは太陽光をたくさん浴びると日焼けします。一方,植物は葉戦後日本における農村の経験戦後日本の農業政策に関する研究を行っています。主な研究対象は,アメリカの事業を基に1948年に開始された「生活改善普及事業」です。衣食住などの生活の知識や技術の普及と共に,自主性を持った農民を育成することを目的として行われた事業です。各都道府県において実施され,農家の生活水準の向上や,農村の民主化に大きく貢献しました。アメリカ発祥の事業が歴史や風土の異なる日本においてどのように実践されたのか,中央の方針に対し地方自治体はどのように対応したのかに関心を持ち,これまで中国地方,東北地方を対象に調査・研究を行ってきました。私の研究では,当時の文書資料を探すことに加え,生活改善普及事業で指導に当たった方,生活改善グループで活動を行った方などに対して聞き取りを行います。終戦から70年以上が経過し,聞き取りも年々難しくなってきています。しかし,激動の時代を経験された方々からお話をうかがうのは,「今」を知る上でとても大切なことだと考えています。洪水のライフサイクルと氾濫する物質を考える河川工学というのを専門にしていくとなると,洪水と水害は違うということを認識しなければ始まりません。応用地質学者の小出博先生の言い方を拝借すると,洪水は自然現象,水害は社会現象の一コマということになります。つまり,洪水が川から溢れてもそこに人間生活が営まれていなければ水害にはならない,というわけです。私は水害の軽減を研究テーマの一つにしていますので,洪水が川から溢れ,溢れた洪水(氾濫)をどう終焉させるのかまでがどうしても気になります。学生時代,博士論文の審査員の一人を務めてくださった環境倫理学者の鬼頭秀一先生はこれを「洪水のライフサイクル」と名づけました。大変的確な造語だと感服しました。以降,各地の水害調査でもこの洪水のライフサイクルを常に念頭に置いてきました。そのうち今度は洪水(氾濫)に伴う土砂や流木などの「氾濫する物質」をどう制御するのか,ということまで気になり出しました。イントロで字数の上限が来ましたので,本編は島根大学で。丸田 隆典教授中間由紀子助授佐藤 裕和助授個性豊かな教員が学生と一体となり,様々な研究に取り組んでいますZoom up!STUDY!科学科学のの謎謎にに挑戦!挑戦!

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