島根大学 生物資源科学部 2024 学部案内
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施設園芸学森林生態学進化発生学個性豊かな教員が学生と一体となり,様々な研究に取り組んでいます農林生産学科園芸植物科学コース環境共生科学科環境生物学分野附属生物資源教育研究センター小野 廣記助教海洋生物科学部門島根大学 生物資源科学部 202422田中 秀幸准教授藤巻 玲路助教Zoom up! STUDY!植物がもつ能力を最大限引き出すためには施設園芸学とは,光や温度といった環境を制御することで,作物の生育を最適化またはコントロールすることを目的とした学問です。私は,施設園芸においてサクラの開花制御やトマトの機能性強化を研究しています。サクラの花芽は夏に形成が始まり,秋になり日長や気温が低下すると花芽発達が停止して休眠に入ります。そして春になると休眠から目覚めて一斉に開花するのですが,その休眠に入るための条件や休眠から覚める条件はまだ分かっていません。これらのメカニズムを理解することが出来れば,どの季節でもサクラを開花させることが可能になります。トマトは現在,施設園芸の発展により一年中スーパーで売られていますが,もっと美味しく,もっと健康によいトマトを環境制御により作り出すことは可能かもしれません。なぜなら,まだ我々は植物が持つ能力をすべて引き出せていないからです。好きな花をいつでも鑑賞できたり,美味しくて健康に良いものがスーパーで簡単に購入できるような技術が開発できればと思っています。水質をととのえる森のはたらき雨で降ってくる水にはちりや汚染物質が混じっています。ですから,そのままでは飲む気がおきません。しかし,森の中を流れる水はきれいで美味しそうに見えませんか? 森に降る雨は,葉や枝に触れて地面にとどき,土にしみこみ,やがて湧き出て川に流れます。このプロセスの間に水に溶けている成分に変化がおきます。これを森林の水質調整機能と呼びます。この機能がどの様に発揮されるのかを明らかにすることが私の研究です。近年,人為的な汚染源の無い森林でも富栄養化物質である窒素が流出していることが報告され始めています。しかし,人工林を間伐したり下層植生の繁茂を調節することで,窒素の流出が生じにくくなることが分かってきました。つまり,森林を適切に管理することで,水質調整機能が改善することを示しています。島根は面積の約78%が森林で,日本の中でも大きな森林面積割合を持つ県です。しかし,身の回りに広がる森の働きにも分からないことがまだまだ多く,研究のしがいがあります。頭足類のユニークな形態はいかにして進化してきたのか?私は生き物の多様な形態がどのようにして進化してきたのかを明らかにするために,動物種間での胚発生の比較をもとにして,新たな形態的特徴をもたらす遺伝的なバックグラウンドの解明を試みております。私の研究室で扱っている頭足類(イカやタコ)は軟体動物の一群でありながら非常に発達した神経系などユニークな体制を持ち,このような形態的特徴はご存じの通りの高い運動性や複雑な行動に役立っていることが考えられます。しかし,頭足類は飼育や繁殖が難しいため胚発生に関する知見が乏しく,いまだに形態進化に関しては多くのことがわかっておりませんでした。そこで,隠岐臨海実験所という地の利を生かして小型のイカやタコの飼育・繁殖系を立ち上げ,これまで胚の構造の研究から頭足類の消化管や血管系といった内部形態に関する発生的知見を蓄積してきました。さらに現在は胚発生期における遺伝子発現解析を進めており,■の多い頭足類の形態進化の理解に貢献できることを期待しております。研究紹介科学の■に挑戦!

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