下関市立大学広報 第84号
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The Shimonoseki City University Public Relations No.842018.3.17下関市立大学News&Topics 全国各地で地域ブランド化の取り組みが行われていますが、すでに一定程度ブランドが確立された農水産物がさらに地位を強固にするための方策に関する論議は手薄な状況です。そこで、確立された地域ブランドがさらに進化するために何が必要か、という観点から議論する場を設営しました。議論を深めるために、下関を代表する下関フグと垢田トマトを事例としました。 議論では下関フグ、垢田トマト共にそれぞれの課題解決に向けて全力でブランドを進化させないとブランド価値の維持は難しいこと、具体的には激変している市場環境に適応すべくブランド管理を強化すること、大衆市場化にも対応すべきことなど新たな挑戦を積極果敢に行う必要があることが指摘されました。さらにブランド価値を長期的に維持するためには蓄積された技能を次世代に如何に伝承するか、その仕組みづくりに関しても課題として提起されました。(附属地域共創センター センター長)教授濱田 英嗣「確立された地域ブランドの進化に関する諸課題-下関フグと垢田トマトを事例に-」(トルコ・ボアジチ大学から派遣)科目等履修生アイチャ テキン第3回日本にいながら世界を知ろう 私は下関市の姉妹都市であるトルコのイスタンブール市出身で、日本語と日本の文化に興味があり下関市立大学に留学することにしました。 平成29年10月25日(水)に開催された「第3回日本にいながら世界を知ろう!!」では、私の母国のトルコについて紹介しました。トルコと日本の似ているところ、違っているところを皆で一緒に考える機会を作りました。トルコと聞いても何語で話されているか知らない日本人が多くいると思います。下関市立大学の学生に少しでも姉妹都市のイスタンブールやトルコのことを知ってもらえて嬉しかったです。日本とトルコは遠く離れても歴史的な繋がりを持っているので、興味を持ってもらえたらいいなと思いました。今回の発表では、文化を表すことわざを紹介し、トルコ人の考え方について話しました。また、来てくださった皆さんとトルコのナッツを食べたり、トルココーヒーを飲んだりしました。一緒に忘れられない思い出を作りました。 山川ゼミでは、貿易や為替、経済発展、エネルギーなどについて、国際経済学や国際政治経済学の観点から研究しています。山川ゼミの特長は、論文作成やゼミ発表について、みんなで考える点です。ゼミでは、議論の時間が多くあります。議論を重ねることで、新たな視点や考え方に気づくことができ、どうしたら伝わるかを意識するようになりました。先生からは様々なアドバイスやサポートをいただけますが、結論を明確にし、深く考える主体はあくまで私達ゼミ生です。山川ゼミ3年次のメインイベントは、夏と冬の他大学との合同ゼミとそこでの論文執筆です。私は、グループで『東アジア貿易体制の行方』という論文を執筆しました。書いていく過程で、経済の知識だけでなく、論理的な構成を考え抜く力、チームでの分業など様々な能力が身につきました。ゼミを通じて、成長には、個人の頑張りはもちろんですが、チームの役割もとても重要だと感じました。これから個人で卒論を執筆していきますが、培ったゼミ内のチームワークを生かし、よい論文を書きたいです。連載企画私のゼミ私のゼミ私のゼミ(福岡県立小倉高等学校出身)国際商学科3年松田 優奈個を磨くためのチーム(編著 中央経済社 2017年)国際商学科 教授柳 純日系小売企業のアジア展開-東アジアと東南アジアの小売動態-連載企画自著を語る自著を語る自著を語る 今日、日本の小売企業が海外展開していることは、製造業(メーカー)のそれと比べてあまり知られていない。近年、アジア市場を目指して日系小売企業が活動を活発化させており、その傾向として地理的な拡大(東アジアから東南アジアへのシフト)に加えて、量的増大(多店舗展開による店舗数の増加)および質的変容(小売ビジネスモデルの多様化)が認められる。 さて、本書のテーマは、東アジアと東南アジアをフィールドとする流通と日系小売企業であり、当該国・地域別に分析をすることに注力している。アジア各国・地域の現地小売流通の構造変化、競争関係・行動の多様化、今後の日系小売企業の発展可能性などの着眼点を設けることで、読者には、アジアにおける流通の本質、日系小売企業の「現地化」の取り組みに関しても理解できるように努めたつもりである。 アジアにおける流通研究ならびにマーケティング研究の蓄積は決して多いとは言えないが、本研究の出発点は、アジアの当該国・地域の流通活動を代表する小売業の分析を通じて「小売国際化」のインパクトを模索するところにある。 本書を通じて、アジアにおける日系小売企業の知られざる実態を知る機会になれば幸いである。

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